オフィスや事務所移転における電話移設のポイント

オフィスや事務所を移転する際にはやるべきことがたくさんありますが、その中でもインフラの移転は重要な項目のひとつです。特に電話は企業にとって欠かすことのできないインフラですので、オフィスや事務所の移転が完了した時点ですぐに使えるようにしておく必要があります。

では、実際にオフィスや事務所の移転によって電話の移設と電話工事が必要となった場合、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。電話移設の際の大切なポイントは以下の通りです。

電話移設には時間がかかる

オフィスや事務所の移転に伴う電話工事は、一般家庭の引越しとは異なり時間がかかる場合があります。移転先で企業活動を再開する日程を踏まえた上で、計画的に準備を進めていきましょう。

電話番号の変更は必要な場合と不要な場合がある

電話番号は、オフィスや事務所の移転によって変わる場合とそうでない場合があります。必ず事前にキャリアへ連絡をして確認をしておきましょう。

主装置の設置が必要なケースもある

オフィスや事務所の移転と同時に、家庭用電話機からビジネスフォンに変更する場合には、主装置の設置が必要になる場合もあります。

オフィスや事務所の電話回線の種類

オフィスや事務所の電話回線は、主に「アナログ回線」、「ISDN回線」、「IP電話回線」、「ひかり電話回線」の4つの種類に分類されます。ここではそれぞれの回線の特徴について詳しく見ていきましょう。

アナログ回線

アナログ回線というのは、アナログ信号によって通信をする電話回線のことを意味します。昔から家庭で使われている一般的な回線で、電話機を銅線でつなぎ、糸電話のように通話の音声をそのまま銅線にのせて伝えるのが特徴です。アナログ回線には2つの種類があり、黒電話の時代からある「ダイヤル回線」と、現在主流となっているプッシュボタン式の電話に使われる「プッシュ回線」とで区別されています。

また、アナログ回線は1つの回線で1つの着信が原則のため、インターネットを利用する際には、別途インターネット回線を契約しなくてはいけません。

ISDN回線

ISDN回線はデジタル回線の一種で、アナログ回線と同じように銅線を使用していますが、アナログ回線が音声をそのまま銅線に乗せて伝えるのに対し、デジタル回線では音声をデジタル信号に変換しデータとして送るのが特徴です。また、アナログ回線が1つの回線に対して1つの着信しかできなかったのに対し、ISDN回線では1つの回線で同時に2つの着信ができます。

なお、ISDN回線は2024年1月にサービスが終了することが決まっており、補完サービスは2027年まで提供される予定です。ISDN回線を利用している場合は、移転を機に回線の切り替えを検討したほうがいいでしょう。

IP電話回線

IP電話回線は音声を電気信号または光信号に変換し、インターネット網を伝って相手の電話機に送ることで通話をする通信方法のことです。後述する「ひかり電話」もこのIP電話の一種で、インターネット網を利用するため、アナログ回線のように距離によって通話料が加算されることはありません。

ひかり電話回線

現在主流の回線で光ファイバーを使った電話サービスです。インターネットも利用できるためIP電話の一種といえます。通信速度が速いのが特長で、ビジネスにおすすめの回線です。2024年1月にはISDN回線が終了するため、今後、ひかり電話回線に切り替える企業が殺到する恐れがあります。移転のタイミングで切り替えるのがベストなので、移転の時期と切り替えについて早めに検討しましょう。

電話移設には、NTTと専門業者による電話工事が必要

オフィスや事務所の移転に伴う電話移設をする場合には、「NTTが行う工事」と「業者が行う工事」の2つの工事が必要になります。NTTが行う電話工事というのは、主にNTTの局内で行われる交換機工事と、電話回線を引き込むための屋内配線工事のこと。

一方、業者が行う電話工事は内線と外線を使えるようにするための主装置の設置工事や電話配線工事、電話機の設定工事のことです。

オフィスや事務所の電話を移設する際には、両者の電話工事の日程をうまくスケジューリングする必要があります。

オフィスや事務所の移転に伴う電話移設の流れ

では、実際に電話移設を行う場合、どのようなスケジュールで進めていけば良いのでしょうか。オフィスや事務所の移転に伴う電話移設の流れと、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

利用中のキャリアに連絡をする

オフィスや事務所の移転が決まったら、まずは現在利用しているキャリア(通信会社)に連絡をしましょう。遅くとも1ヶ月前までには連絡をするのが理想的です。

移転先でも旧電話番号か使えるかどうかを確認する

次に、現在オフィスや事務所で使用している電話番号が、移転先の住所でも継続して使えるのかどうかも確認します。例えば、同一市区町村内での移転であっても、電話番号が変更になるケースもあるので注意が必要です。オフィスや事務所の移転で電話番号が変更になると、名刺やホームページ、販促資材なども作り直さなくてはいけないため、できるだけ早い段階で確認することをおすすめします。

電話機器が移転先で利用できるかどうか確認する

現在使っている電話機器を移転先のオフィスや事務所でも使用する場合、それが可能かどうかの確認も必要です。例えば、移転に伴い電話機器を増設しようと思っても、現在使っている電話機器が増設に対応していないケースもあるため注意しましょう。

電話移設の専門業者に連絡する

具体的な移転の日程が決まったら、電話移設の専門業者に連絡をして電話工事の依頼をしましょう。工事には時間がかかる場合もあるため、できるだけ早い段階で調整を始めるのが理想的です。

電話というのは企業にとって最重要インフラのひとつです。オフィスや事務所を移転した際に使用できない期間が発生することがないように、上記でご紹介した内容を参考にして、計画的に準備を進めていきましょう。

オフィスや事務所移転に伴う電話工事の費用

オフィスや事務所移転に伴う電話工事の費用は、電話機の数と回線数によって大きく変わります。各工事費用に必要な台数や回線数を掛けて計算することでおおよその費用はわかりますが、オフィスや事務所の規模や工事の内容によっても料金は変わってきますので注意してください。

前述のとおり、電話の移設には「NTTが行う電話工事」と「業者が行う電話工事」がありますので、それぞれの費用の目安をご紹介します。

「NTTが行う電話工事」

・交換機等工事費(ひかり電話 NTT西日本の例)
基本機能:1,100円(税込)/1契約

・屋内配線工事費(NTT東日本の例)
既存の配線を利用する場合:2,640円(税込)/1配線
新規で設置する場合:5,280円(税込)/1配線

・基本工事費(ひかり電話 NTT西日本の例)
担当を派遣する場合:4,950円(税込)/1工事
派遣なしの場合:1,100円(税込)/1工事

「専門業者が行う電話工事」(費用の相場)

・作業員派遣費:7,000~12,000円(税込)/1人
・主装置設置費:7,000~15,000円(税込)/1台
・電話機設置費:35,000円〜(税込)/5台
・データ設定費:5,000円〜(税込)/5台
・FAX接続費:7,000円〜(税込)/1台
・屋内配線費:15,000円〜(税込)/30メートル
・回線収容費:15,000円〜(税込)/3回線
・材料費:5,000円〜(税込)

上記の移転に伴う電話工事の費用はあくまでも目安で、項目も工事内容によって異なります。

オフィスや事務所の移転が決まったら、できるだけ複数の業者で見積もりを取って比較検討しましょう。総費用だけでなく、内訳も比較して不透明な費用が含まれていないか確認することも大切です。

新しいオフィスや事務所で気持ちよくビジネスを始めるためにも、早めに納得のいく業者を見つけて依頼することをおすすめします。

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