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企業のタイプ別でわかるオフィスレイアウト8選。クラスター型からABWという最新のワークスタイルまで

コラムCOLUMN

2021.09.10

企業のタイプ別でわかるオフィスレイアウト8選。クラスター型からABWという最新のワークスタイルまで

10人の経営者がいれば、10通りのオフィスレイアウトがある

エジソンの研究施設にみる天才に共通するワークスペースの在り方

米国ニュージャージー州に残るエジソンの研究施設。蓄音機や白熱電球や映写機の三大発明が有名ですが、彼がつくった研究所もまた世界初といわれています

数々の名作や前代未聞の発見、発明を生み出した天才たち。彼らはどのような環境で偉業を成し遂げたのでしょうか。例えばエジソンの部屋は、実験道具やデスクが整然と配置され、無駄を省いた効率的なレイアウトだったそうです。一方、作家のマーク・トウェインは、執筆とは関係ないビリヤード台を書斎のど真ん中に据えて、遊びも仕事も熱心だったとか。

このように、仕事部屋のありさまは人それぞれ。ただ、 彼ら天才に共通していえることは、ワークプレイスを自分にとって最も使い勝手が良く、心地よい場所にしているということです。仕事内容やその時の状況によって最適なスペースやレイアウトが、優れた発想の源泉になっているのは間違いありません。そしてそれは、オフィスシーンにおいても、同じ事がいえるでしょう。

1 オフィスレイアウトを変更する企業が増加傾向に

東京23区と全国調査におけるテレワーク事情とオフィス面積に対する意見

「大都市圏オフィス需要調査2021春」(ザイマックス不動産総合研究所2021.06.09)による、オフィスレイアウトの意識調査結果です。左は、東京23区における「【図表11】<業種別>出社率(実態/意向)」、右は、全国調査における入居中のオフィス面積について感じる「【図表15】手狭感」の2017年春と2021年春を比較した「かなり広い」「やや広い」をまとめたものです

働き方改革の推進とともに、徐々に浸透していったテレワーク。その流れに、新型コロナウイルスの感染拡大が拍車をかけました。イラスト左の「大都市圏オフィス需要調査2021春」(下記出典)によると、現在、東京23区内では、 社員全員が出社している企業は12.9%であるのに対し、 出社率40%未満という企業が32.9%(完全テレワーク派とテレワーク派の合計)。こうしたテレワークの普及は、都市部や大企業ほど大きくなっています。

「大都市圏オフィス需要調査2021春」の調査結果から推測することができるのは、オフィス内で利用されていないスペースがかなりあるのではないか、ということです。

また、同出典ではオフィスの面積についてどのように感じているかを全国調査しています。ここでは、ビフォー・コロナの2017年春と2021年春の結果を比較してみました。その結果、オフィスが「やや狭い」「かなり狭い」の合計回答は31.6%から24.8%と7ポイント近く減少したのに対し、 「やや広い」「かなり広い」という回答は16.8%から25.3%に上昇。調査を実施してから初めてオフィスに対して「広い」という回答が「狭い」という回答を上回りました

このことから、 オフィススペースの多くが遊休スペースとなっていることが推察されます。いくら社員の働き方が変わっても、オフィスがその変化にあわせて変わっていないのでは、生産性がダウンしてしまうケースもあります。そうした中で、オフィスのレイアウト変更や、大胆な転換でオフィススペースの最適化を図る動きが加速しているのです。

イラスト・本文出典: 「大都市圏オフィス需要調査2021春」 (ザイマックス総研2021.06.09)を基に、H1Oコラム編集部にて作成

選択肢の1つとして注目があつまるサービスオフィス

野村不動産「H¹O(エイチワンオー)虎ノ門ラウンジ」

ニーズに合わせて選べる専用個室がある「H¹O」 *H¹O虎ノ門 (2021年4月撮影)

では、オフィススペースの最適化にはどのような方法があるのでしょうか。後述するレイアウトパターンを参考に調整することが可能です。

タイプ別おすすめレイアウトパターン

最近では、オフィスについて現状を維持するだけでなく、移転・縮小する傾向もあるようです。テレワーク化が急速に進み、また、自社ブランドの再編成を意識する企業が多くなったことがその要因でしょう。さらに、移転・縮小を行う理由と目的を、 「テレワークによる必要面積の減少」「オフィスコスト削減」「レイアウトの見直し(オフィススペース効率化)」の3点とした企業が多いことも分かっています。

新時代のオフィス像は、場所の縮小と業務の効率化が鍵

こういった傾向があるなかで、今 注目が集まっているのがサービスオフィスです。単にスペースだけを提供するオフィスとは異なり、サービスオフィスは共有スペースや受付業務の代行、オフィス機器なども設置されています。また、水・光熱費などが家賃に含まれているケースも多く、ランニングコストも抑えることができます。

次の章でご紹介する「H¹O(エイチワンオー)」を例にすると、サービスオフィスのメリットは、以下のような点が挙げられます。

●サービスオフィスのメリット

賃貸スペースの効率化

  • ・会議室やラウンジなどの共有スペースを他の入居者とシェアリングしコストダウン
  • ・社員数、働き方に合わせた貸室面積の選びやすさ

オフィスコストの削減

  • ・敷金、内装工事費などの初期費用
  • ・電気代、ルームクリーニングなどの定期的な運用・清掃費等

生産性の向上

  • ・本業に集中するための有人受付による来客対応サービス
  • ・自社のニーズを取り入れて作り上げる専用個室よるワーク・エンゲージメントの向上
  • ・ウェルネスフードやアロマ空調などのサービスサポートによるモチベーションの向上

リスクの低減

  • ・生体認証システムなどを用いた、多重セキュリティー
  • ・情報漏洩に配慮した共用廊下からも見えない機密性の高い専用個室

H¹O(サービスオフィス) と通常オフィスとの違い

さらに、サービスオフィスは、スタートアップ企業やオフィスの分散化を図る企業がまず直面するオフィスの開設コストという問題も解決してくれます。初期費用を抑え、フレキシブルな事業展開ができるのです。また、移転に当たりペーパーレス化の推進などオフィススペースの効率化を進めることにもつながるでしょう。

では、実際にサービスオフィスに移転した企業の事例を紹介しましょう。

【事例】H¹Oを活用したオンラインとオフラインの上手な使い分けとは

「H¹O」を利用するヴィードック・ジャパン株式会社の写真

ヴィードック・ジャパン株式会社の中澤 勇介氏、角間 慶子氏、加藤 紀禄氏(左から)

働き方が多様化し、これまでのオフィスの在り方が見直されている中、スペースや時間の有効利用、組織の生産性と個人のパフォーマンスの両立など、 企業の課題とニーズに応える野村不動産のサービスオフィス「H¹O(エイチワンオー)」が注目されています。2020年5月から「H¹O日本橋小舟町」に移転したヴィードック・ジャパン株式会社を事例に、サービスオフィスが今の時代になぜフィットするのか生の声を聞いてみました。

ヴィードック・ジャパンは、本社のスウェーデンをはじめアメリカ、ドイツ、中国と世界市場に展開している医薬品、医療関係のソフトウェア開発企業の日本支社。在宅や海外在住の社員2名を除くと、実際にオフィスを利用するのは4名だといいます。実際にテレワークが進むことで出社する機会が少なくなり、元のオフィス契約期間が満了することもありオフィス移転を決断しました。今の自分たちにフィットする働く場所を探すなかで、以下の点を重視したといいといいます。

立地:社員の通勤の利便性とクライアントへのアクセスの良さ
設備:来客対応代わりのレセプションサービス、生体認証による高レベルなセキュリティー

これらの条件を満たすのが、「H¹O日本橋小舟町」だったといいます。実際に利用するなかで、「実際に集まり皆で対面することで気軽に込み入った話ができる」「共用スペースや屋上など気分転換ができ集中して働くことができる」「契約書の署名・捺印など、どうしても外に持ち出せない仕事もある」といったことを体感したといいます。

このようにヴィードック・ジャパンの事例を見ると、オフィスには、「集中して業務に専念できる」「気晴らしができる」「デリケートな話ができる」といった、空間が必要だということがわかりました。 働き方の変化によるオフィスのあり方の見直しが迫られるなかで、オフィスの移転や縮小をただ安直に行うのではなく、働き方に合わせたレイアウトも併せて考えなくてはいけないということが分かります。そういったなかで、自社のオフィスのほかに、ラウンジや会議室などの共用スペースをサービスとして活用できる、サービスオフィスを試してみるのもよいでしょう。

2 オフィスレイアウト最適化のカナメとなるゾーニング

オフィスレイアウトの見直しと最適化のイメージ画像

ゾーニングとは、働く場所や通路、会議室、共有スペース、 オフィス機器の配置や収納スペースなど、オフィス全体のどこに何を配置するか、ざっくり大きくエリア分けをすることです。

オフィスの広さはもちろんのこと、会社の規模や社員数、業種などによってもゾーニングは変わってきます。ゾーニングでいちばん必要なことは、社員がムダやストレスなく働けること。基本的なポイントをおさらいしておきましょう。

●ゾーニングのポイント

  • ・社員のパフォーマンスの向上が図れる
  • ・コミュニケーションの活性化が図れる
  • ・無駄なくシンプルな動線
  • ・セキュリティーを意識
  • ・事務機器などの配線が邪魔にならない

部屋を分割する際に注意すべきこと

区分けの際のポイントは、大きく分けて①各種法令の順守、②セキュリティー、③居心地の良さの3つです。

まず1つ目の法令順守です。 オフィスに関連する法規には、建築基準法と消防法があります。デスクの配置やパーテーションの区切り方は勝手に行っていいというものではなく、各種法規に従わなければなりません。例えば建築基準法では、フロア内で廊下の片側にオフィスがある場合は廊下の幅は120cm以上、両側の場合は160cm以上にしなければならないと定められています。
また消防法では、火災報知機やスプリンクラーの設置義務や、天井まで届くパーテーションの設置は管轄内の消防署への届け出が必要とされています。考えているレイアウトが法令を順守しているか、あらかじめチェックしましょう。

2つ目のセキュリティーに関しては、一部関係者のみアクセス可能、社員のみが利用、社員以外も利用など、 そのエリアにおけるセキュリティーの重要度を考慮する必要があります

以上の2点を踏まえたうえで、3つ目の社員にとって居心地の良い空間になっているか、パフォーマンスを上げてより効率の良い仕事ができるか、考慮する必要があります。

区分けの際に気をつけるべき2つのポイント・注意事項

1:建築基準法と消防法をチェックする 2:セキュリティーの重要度に応じた配置
「建築基準法」その他の廊下における場合は、廊下幅120cm以上、両側居室の場合は160cm以上 そのエリアにアクセスができる人間を一部関係社員、全社員、社員以外も可とゾーン別に選別
「消防法」火災報知機やスプリンクラーなどの設置義務
天井までのパーテーションは管轄内の消防署への届け出が必要
セキュリティー重要度を考慮したエリアレイアウトに

レイアウト変更で取り入れたいスペース割合のトレンド

約1年間のオフィス全体の面積変化の調査

テレワーク化が進み、自社の働き方を再確認するなど先を見越したゾーニングのイメージを持つことが大切です。グラフの基は、「<オフィス面積の変化別>レイアウト配分の変化」(ザイマックス不動産総合研究所、2018年4月~2019年3月の集計)

また、ゾーニングをする際に、どのようなレイアウト・スペースが社員のパフォーマンス向上につながるか、ということを考えておきまししょう。

近年のオフィススペースのトレンドの傾向について調査結果があります。『<オフィス面積の変化別>レイアウト配分の変化』(下記出典)では、オフィス内のレイアウトを「固定席スペース」「会議室」「フレキシブルなスペース」の3種類でわけ、約1年間のオフィス全体の面積変化を調査しています。その結果、上の表のような変化が表れました。

ここで注目したいのが、オフィス面積の拡張、縮小にかかわらず、フレキシブルなスペースが増えている点です。 最近の傾向として社員の共有スペースやリフレッシュコーナーなどのコミュニケーションエリアが拡大している傾向が高くなっているということです。かつては社員数と同数のデスクが必要でしたが、働き方の選択肢が増えている現在はその必要はありません。ワークスペースとコミュニケーションスペースのバランスを考えたゾーニングが、快適なオフィスへとつながります。

グラフ・本文出典:「 <オフィス面積の変化別>レイアウト配分の変化 」 (ザイマックス不動産総合研究所、2018年4月~2019年3月の集計)を基に、H1Oコラム編集部にて作成

3 タイプ別おすすめオフィスレイアウトパターン

オフィスのレイアウトで最も重要なのが、実際に仕事をするエリアで社員のデスクをどのように配置するかということです。 社員がいかに気持ちよく、効率的に働けるかは、レイアウトが大きく影響します。もちろんレイアウトには、決まった形はありません。フロアの広さや状態、また業種や業務目的などによって、求められるレイアウトは違ってきます。10のオフィスがあれば、レイアウトも10通り。その中からいくつかのレイアウトパターンを紹介しましょう。

コミュニケーションを重視する企業に有効なレイアウト

HR総研による「『社内コミュニケーション』に関するアンケート調査」(2020年7月1日)によると、実に95%もの人が「社員間のコミュニケーション不足が業務の障害になる」と応えています。どんなにテレワークが進んでも、やはり仕事を進める上でコミュニケーションは欠かせません。

チーム内でのコミュニケーションを重視する企業向けに有効なレイアウトに「対向型」と「グループ型」があります。 「対向型」は別名「島型」とも言い、チームのメンバーが向かい合って座る最も基本的なレイアウトです。この「対向型」の メンバー全体を見渡せる上座の位置にチーム長のデスクを付けたのが「グループ型」です。「対向型」「グループ型」とも、メンバー全員の顔が見えるので、コミュニケーションを取りやすいのがメリットです。

HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2021 結果報告

●対向型の例

コミュニケーションを重視する企業に有効なレイアウト:対向型の例

対向型は、メンバーが向かい合って、1つの島(チーム)を構成します。目線を上げるとすぐメンバーが視界に入るので、コミュニケーションが容易なのが特徴。各デスクの境界にパーテーションを付けて、最低限のプライバシーを確保することもできます

●グループ型の例

コミュニケーションを重視する企業に有効なレイアウト:グループ形の例

グループ型は、そのチームのトップがメンバー全員を俯瞰できる位置にデスクを配置します。チーム内での序列がはっきりして管理がしやすいという点が特徴です

集中力を必要とするクリエーター向けの企業に最適なレイアウト

作業の生産性を高めるために1人での作業が必要と考える人の割合のグラフ

最大の生産性をあげるためには「1人で集中することが必要」との意見が多数という調査結果が出ています

多くのビジネスパーソンが業務上でのコミュニケーションの大切さを訴える一方で、 約89%の人が、最大の生産性をあげるためには集中力の重要だと考えているようです。とくに高い集中力が求められる職種などの場合、個人のプライバシーが保てるデスク空間が求められます。そうした職種に向いているレイアウトが、各デスクをパーテーションなどで仕切った「ブース型」です。ブース型には、仕切り方によって「クローズ式」と「個室式」があります。

●ブース型の例

集中力を必要とするクリエーター向けの企業に最適なレイアウト:ブース型のクローズ式と個室式の例

ブース型は、自分一人の空間を保つことができるため、集中して仕事ができるメリットがあることが特徴。ブース型には、各デスクの間にパーテーションなどを立てた「クローズ式」(上図左)のほかに、完全に周囲から仕切ることでカプセルのようにした「個室式」(上図右)もあります

マルチパフォーマーが多い企業が導入したいレイアウト

「コミュニケーションは大切。でも一人で集中できる環境も欲しい」。多くの人はそう思っているはずです。実際に「ヒューマンファースト研究所調査分析レポート」(下記出典)によると、 オフィスに求める価値をビジネスパーソンにリサーチしたところ、オフィス、サテライトオフィスと勤務形態は違っても、コミュニケーションと集中できる場所という2点が高いポイントを得ています。一見相反するこの要望を、バランス良くかなえるためのレイアウトとして、「同向型」「背面型」「クラスター型」「フリーアドレス型」があります。

出典: ヒューマンファースト研究所調査分析レポート#1

●同向型の例

マルチパフォーマーが多い企業が導入したいレイアウト:同向型の例

全員が同じ方向へ向いている「同向型」。学校の授業中のクラスを思い出す人もいるでしょう。銀行や不動産業などのような接客窓口がある業務に向いているレイアウトでは、対面に人がいないので、ある程度のプライバシーとセキュリティーが確保できるうえに、隣のデスクの人ともコミュニケーションが取りやすいのがメリットです

●背面型の例

マルチパフォーマーが多い企業が導入したいレイアウト:背面型の例

メンバーが向き合う「対向型」の反対に、背中あわせで座る「背面型」。他人の視線を気にせずに自分の業務に没頭できる一方、隣の人や振り返えって背後の人ともコミュニケーションが簡単に取ることが可能です

●クラスター型の例

マルチパフォーマーが多い企業が導入したいレイアウト:クラスター型の例

対称的な方向を向いた2列のデスクで構成される「クラスター型」。対向型と同向型の良い点を組み合わせたレイアウトで、列の間をパーテーションなどで仕切れば、個人のプライバシーは対向型や同向型よりも高く保つことができます。外資系のオフィスによく見られます

●フリーアドレス型の例

マルチパフォーマーが多い企業が導入したいレイアウト:フリーアドレス型の例

出社したら、どこでも空いている席に自由に座れる「フリーアドレス型」。チームだけで固まる他のレイアウトと違い、それぞれ好きなデスクを使えるので、他部署の人と意見交換しやすいのが特徴。デスクの配置は、対向型にしているところが多いようです

ソーシャル・ディスタンスへの取り組み

オフィスでのソーシャル・ディスタンスへの取り組み方のイメージ

近年は、レイアウトに加え、冷暖房や湿度などのオフィス環境についても見直しがされている傾向があります。特に、新型コロナウイルスをはじめ、 風邪や季節性のウイルス感染を抑制するためにも、ソーシャル・ディスタンスへの取り組みが行われています。先に紹介した同向型のレイアウトのように、従業員同士が向き合わないようにする配置で、飛沫による感染リスクを低下させることも考えなくてはなりません。以下のようなポイントを考慮し、レイアウトやゾーニングを設計することも大切になっています。

●オフィスにおけるソーシャル・ディスタンス対策

  • 従業員同士の間隔を2mとれるようなデスク配置にする
  • 飛沫を避けるためデスクを対角・横並びに配置する
  • 対面でしかレイアウトできないは仕切りなどで遮蔽する

また、外出や来客が多い職種や企業の場合は、衛生面でも注意が必要になってきます。ソーシャル・ディスタンスと併せて、衛生対策も取り組むことで、より効果的になるでしょう。

●オフィスにおける衛生対策

  • ミーティングスペースなど密室の場合は定期的に換気をする
  • 共用スペースの備品などは定期的に消毒する
  • 多人数が一堂に会して飲食しないように、時間差を設けるなどして避ける

コラム 多様性に富んだ働き方を可能にするオフィス空間「ABW」

以上、タイプ別のレイアウトパターンを紹介してきましたが、さらなるオフィスの進化系として、 社員が自分で働く場所と時間を選択できる「ABW(Activity Based Working)」という働き方を採用する企業も増えてきました。

フリーアドレスが、オフィス内での働く場所を自由に選べるのに対し、ABWはさらに一歩進んで、 オフィス以外のどこでも仕事をしてもよいというスタイルです。働く時間も自由なので、集中して仕事をしたいときは自宅で、気分転換を兼ねてカフェで、仲間とのコミュニケーションが必要な時は会社やサテライトオフィスでというように、自分の気分や仕事の進捗状況、内容によって、最も効率が上がる働き方を選べるのがポイントです。

ABWのレイアウト例

/ 社員が自分で働く場所と時間を選択できる「ABW(Activity Based Working)」のオフィスレイアウト例

中心にミーティングスペースを設置することで、従業員の回遊性が向上し、コミュニケーションの円滑化にもつながります

ABWの導入に適したレイアウトの一例が上の図です。ABWを指向する従業員数10名前後の企業がオフィスとするケースを想定し、10席ぶんの執務スペースに加え、オープンスペース、ミーティングスペース、仕事の合間にリフレッシュできるリラックススペース、さらには自分の仕事に没頭できる集中力ブースに区分けしています。このように、 シチュエーションによって多様なワーキングスタイルに応えることができるレイアウトがABWの実施には求められます*。コンパクトな中にも、バラエティに富んだ表情を見せる職場環境が、快適さと新たなアイディアの源になっていきます。

4 【HOW TO】レイアウト決めの第一歩。まずは何から?

/ オフィスレイアウトを決める際のポイントのイメージ画像

それでは実際にどのようにレイアウトを変更すればよいのでしょうか。その手順や考え方を解説します。その前に押さえておきたいのは、一度レイアウト変更をしたら、そう簡単に改めて変更したり修正したりはできないということ。それだけ労力やコスト、時間がかかってしまうので、変更するときは今後の事業展開のことも考えて実行することが大切です。

まず最初に必要なのが、 現在のオフィスで何が問題なのか、そしてどのようなオフィスにしたいのかを決めることです。新しいオフィスはコミュニケーションを重視するのか、それとも個々のプライバシーに配慮するのかなど、コンセプトを明確に決定し、それにともなってレイアウトを選択します。その際に、全体と各エリアの必要面積を見積もってゾーニングにとりかかります。そしてゾーニングをもとに、具体的に図面化していきます。その際に、人の動きを考慮しておかないと、非常に使い勝手の悪いオフィスになってしまいます。また、 その設計が法令に引っかかっていないかも注意しましょう。移動・変更の日時は早めに社員に伝達し、当日は大きな機器から動かすようにします。
以下にレイアウト変更の手順をフローにしました。

フロー① 課題の洗い出しとコンセプトの決定
フロー② 課題を解決するレイアウトの選択
・基本的なエリアの面積見積
・ゾーニング
フロー③ 具体的設計、図面化
・動線を考慮
・各エリアの機器、什器の寸法調整
・法令の確認
フロー④ 移動、引越
・不要品などの整理整頓

オフィス移転は経営戦略。狙い時とタスクを管理し効率良く

5 オフィスレイアウト用語の振り返り

では、今回キーワードとなった用語などを簡単に解説しましょう。経営者なら知っておくべき、ビジネス上でよく使われる言葉です。

サービスオフィス:セキュリティーの確保された個室をはじめ、共有スペースや会議室などを提供する賃貸サービス。単なる場所貸しだけでなく、コンシェルジュサービスや人材交流サポートなど各種サービスを提供できるのが特徴

BW:Activity Based Workingの略。社員が働く場所と時間を自由に選べるオランダ発の新しいワーキングスタイル

6 オフィスレイアウトを経営戦略として捉えることが重要

 

アフターコロナを見据えて世界が再起動を始めた今、毎日全社員が決まった時間に同じ場所に集まるという働き方のスタイルは、過去のものになりつつあります。そして、オフィスの役割も従来のものと大きく様変わりしています。これまでのようなオフィスレイアウトが、もはや業務の効率やコスト削減の妨げになっている以上、現状、あるいは未来を見据えた新しいワークプレイスを設置することは喫緊の課題といえるでしょう。 既存の価値観にとらわれない、その企業や職種にあった快適なオフィスを創造することが、企業の生き残り戦略の1つとして大きなウェイトを占めてくる、もはやそんな時代が到来しているのです。