目次

1 オフィスレイアウトを変更する企業が増加傾向に

 選択肢の1つとして注目があつまるサービスオフィス 

 【事例】H¹Oを活用したオンラインとオフラインの上手な使い分けとは

2 オフィスレイアウト最適化のカナメとなるゾーニング 


 部屋を分割する際に注意すべきこと レイアウト変更で取り入れたいスペース割合のトレンド 

3 タイプ別おすすめオフィスレイアウトパターン ポイント 


 1 コミュニケーションを重視する企業に有効なレイアウト ポイント

 2 集中力を必要とするクリエーター向けの企業に最適なレイアウト ポイント

 3 マルチパフォーマーが多い企業が導入したいレイアウト ポイント

 4 ソーシャル・ディスタンスへの取り組み ポイント

 5 コラム 多様性に富んだ働き方を可能にするオフィス空間「ABW」

4 【HOW TO】レイアウト決めの第一歩。まずは何から? 

5 オフィスレイアウト用語の振り返り 

6 オフィスレイアウトを経営戦略として捉えることが重要


<目次>

10人の経営者がいれば、10通りのオフィスレイアウトがある

数々の名作や前代未聞の発見、発明を生み出した天才たち。彼らはどのような環境で偉業を成し遂げたのでしょうか。例えばエジソンの部屋は、実験道具やデスクが整然と配置され、無駄を省いた効率的なレイアウトだったそうです。一方、作家のマーク・トウェインは、執筆とは関係ないビリヤード台を書斎のど真ん中に据えて、遊びも仕事も熱心だったとか。

このように、仕事部屋のありさまは人それぞれ。ただ、 彼ら天才に共通していえることは、ワークプレイスを自分にとって最も使い勝手が良く、心地よい場所にしているということです。仕事内容やその時の状況によって最適なスペースやレイアウトが、優れた発想の源泉になっているのは間違いありません。そしてそれは、オフィスシーンにおいても、同じ事がいえるでしょう。

■1 オフィスレイアウトを変更する企業が増加傾向に

「大都市圏オフィス需要調査2021春」(ザイマックス不動産総合研究所2021.06.09)による、オフィスレイアウトの意識調査結果です。左は、東京23区における「【図表11】<業種別>出社率(実態/意向)」、右は、全国調査における入居中のオフィス面積について感じる「【図表15】手狭感」の2017年春と2021年春を比較した「かなり広い」「やや広い」をまとめたものです


働き方改革の推進とともに、徐々に浸透していったテレワーク。その流れに、新型コロナウイルスの感染拡大が拍車をかけました。イラスト左の「大都市圏オフィス需要調査2021春」(下記出典)によると、現在、東京23区内では、 社員全員が出社している企業は12.9%であるのに対し、 出社率40%未満という企業が32.9%(完全テレワーク派とテレワーク派の合計)。こうしたテレワークの普及は、都市部や大企業ほど大きくなっています。

「大都市圏オフィス需要調査2021春」の調査結果から推測することができるのは、オフィス内で利用されていないスペースがかなりあるのではないか、ということです。

また、同出典ではオフィスの面積についてどのように感じているかを全国調査しています。ここでは、ビフォー・コロナの2017年春と2021年春の結果を比較してみました。その結果、オフィスが「やや狭い」「かなり狭い」の合計回答は31.6%から24.8%と7ポイント近く減少したのに対し、 「やや広い」「かなり広い」という回答は16.8%から25.3%に上昇。調査を実施してから初めてオフィスに対して「広い」という回答が「狭い」という回答を上回りました。

このことから、 オフィススペースの多くが遊休スペースとなっていることが推察されます。いくら社員の働き方が変わっても、オフィスがその変化にあわせて変わっていないのでは、生産性がダウンしてしまうケースもあります。そうした中で、オフィスのレイアウト変更や、大胆な転換でオフィススペースの最適化を図る動きが加速しているのです。

イラスト・本文出典: 「大都市圏オフィス需要調査2021春」 (ザイマックス総研2021.06.09)を基に、H1Oコラム編集部にて作成

●選択肢の1つとして注目があつまるサービスオフィス

ニーズに合わせて選べる専用個室がある「H¹O」 *H¹O虎ノ門 (2021年4月撮影)

では、オフィススペースの最適化にはどのような方法があるのでしょうか。後述するレイアウトパターンを参考に調整することが可能です。

最近では、オフィスについて現状を維持するだけでなく、移転・縮小する傾向もあるようです。テレワーク化が急速に進み、また、自社ブランドの再編成を意識する企業が多くなったことがその要因でしょう。さらに、移転・縮小を行う理由と目的を、 「テレワークによる必要面積の減少」「オフィスコスト削減」「レイアウトの見直し(オフィススペース効率化)」の3点とした企業が多いことも分かっています。

→新時代のオフィス像は、場所の縮小と業務の効率化が鍵 

こういった傾向があるなかで、今 注目が集まっているのがサービスオフィスです。単にスペースだけを提供するオフィスとは異なり、サービスオフィスは共有スペースや受付業務の代行、オフィス機器なども設置されています。また、水・光熱費などが家賃に含まれているケースも多く、ランニングコストも抑えることができます。

次の章でご紹介する「H¹O(エイチワンオー)」を例にすると、サービスオフィスのメリットは、以下のような点が挙げられます。

●選択肢の1つとして注目があつまるサービスオフィス

ニーズに合わせて選べる専用個室がある「H¹O」 *H¹O虎ノ門 (2021年4月撮影)


では、オフィススペースの最適化にはどのような方法があるのでしょうか。後述するレイアウトパターンを参考に調整することが可能です。

最近では、オフィスについて現状を維持するだけでなく、移転・縮小する傾向もあるようです。テレワーク化が急速に進み、また、自社ブランドの再編成を意識する企業が多くなったことがその要因でしょう。さらに、移転・縮小を行う理由と目的を、「テレワークによる必要面積の減少」「オフィスコスト削減」「レイアウトの見直し(オフィススペース効率化)」の3点とした企業が多いことも分かっています。
→新時代のオフィス像は、場所の縮小と業務の効率化が鍵


こういった傾向があるなかで、今注目が集まっているのがサービスオフィスです。単にスペースだけを提供するオフィスとは異なり、サービスオフィスは共有スペースや受付業務の代行、オフィス機器なども設置されています。また、水・光熱費などが家賃に含まれているケースも多く、ランニングコストも抑えることができます。


次の章でご紹介する「H¹O(エイチワンオー)」を例にすると、サービスオフィスのメリットは、以下のような点が挙げられます。

■2 オフィスのレイアウトにこだわることで得られるメリット

オフィスレイアウトでは、機能性とデザイン性のバランスを考えましょう。レイアウトにこだわったオフィスは、働きやすさを感じやすく、さまざまな効果が期待できます。


先述した「サービスオフィスのメリット」と重なる点もありますが、オフィスのレイアウトにこだわるメリットを改めて見ていきましょう。

●メリット①社員の生産性が向上する

社員が「オン」「オフ」の切り替えがしやすいオフィスレイアウトを意識すると、生産性の向上が期待できます。具体的なレイアウトとしては、個室ブースやカフェスペース、リフレッシュスペースなどが挙げられます。


働き方が多様化し、オンライン面談なども増加したことから、個室ブースを設置する企業が増えているようです。個人作業が多い部署では、デスクの間にパーテーションを設置し、集中しやすい環境を構築する方法もおすすめです。


カフェスペースやリフレッシュスペースは、単なる休憩場所としてではなく、社員同士のコミュニケーションを活性化する場として捉えましょう。観葉植物やおしゃれな照明を設置し、リラックスできる空間に仕上げることで、社員同士の交流が生まれ、新しいアイディアの創出につながるはずです。

●メリット②企業のブランドイメージ向上に寄与ができる

デザイン性の高いオフィスレイアウトは、取引先や顧客に好印象を持ってもらいやすく、ブランディングとしても効果的な場合があるようです。


ブランディングには、外部に発信する「アウターブランディング」と、社員向けに行う「インナーブランディング」の2種類があるといわれています。アウターブランディングでは、企業の魅力を伝えることで顧客の獲得を目指すのが一般的です。


企業の文化や風土が大きく反映されるオフィスデザインは、求職者が重視する要素の一つともいえます。「おしゃれなオフィスで働ける会社」というイメージが広がることで、採用活動でも優秀な人材が確保しやすくなるでしょう。


インナーブランディングについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。


■インナーブランディングとは?失敗しないための進め方や注意点解説

https://h1o-web.com/cms/html/column/186.html

●メリット③オフィス維持のコスト削減のきっかけになる

テレワークの普及に伴って、オフィスの在り方にも変化が求められているようです。「使用頻度の低い会議室」「空席の多い作業用デスク」など、デッドスペースになっている場所を把握することで、現状のオフィスに必要な面積を見直しましょう。


賃貸オフィスの場合、省スペース化が実現できれば、コスト削減のきっかけになると考えられます。スタートアップ企業をはじめ、事業の拡大を予定している企業にとっても、レイアウトの見直しは必要といえます。オフィス空間を最適化し、スペースに余裕が生まれることで、現状のオフィスでも人員の増減に柔軟に対応できるようになるでしょう。


ただし、頻繁なレイアウト変更は、従業員の負担が大きくなるため、避けた方が無難でしょう。場あたり的にレイアウトを見直すのではなく、「1年後の増員に向けてレイアウト計画を立てる」といったように、戦略的に実施することが大切といえます。


オフィスの省スペース化にあたって移転が必要な場合には、以下の記事も参考にしてください。

オフィス移転の理由とは? 失敗しないために押さえておきたいポイントを解説

https://h1o-web.com/cms/html/column/189.html

■3 オフィスレイアウト最適化のカナメとなるゾーニング

ゾーニングとは、働く場所や通路、会議室、共有スペース、 オフィス機器の配置や収納スペースなど、オフィス全体のどこに何を配置するか、ざっくり大きくエリア分けをすることです。

オフィスの広さはもちろんのこと、会社の規模や社員数、業種などによってもゾーニングは変わってきます。ゾーニングでいちばん必要なことは、社員がムダやストレスなく働けること。基本的なポイントをおさらいしておきましょう。

●ゾーニングのポイント


・社員のパフォーマンスの向上が図れる
・コミュニケーションの活性化が図れる
・無駄なくシンプルな動線
・セキュリティーを意識
・事務機器などの配線が邪魔にならない

●部屋を分割する際に注意すべきこと

区分けの際のポイントは、大きく分けて①各種法令の順守、②セキュリティー、③居心地の良さの3つです。

まず1つ目の法令順守です。 オフィスに関連する法規には、建築基準法と消防法があります。デスクの配置やパーテーションの区切り方は勝手に行っていいというものではなく、各種法規に従わなければなりません。例えば建築基準法では、フロア内で廊下の片側にオフィスがある場合は廊下の幅は120cm以上、両側の場合は160cm以上にしなければならないと定められています。また消防法では、火災報知機やスプリンクラーの設置義務や、天井まで届くパーテーションの設置は管轄内の消防署への届け出が必要とされています。考えているレイアウトが法令を順守しているか、あらかじめチェックしましょう。

2つ目のセキュリティーに関しては、一部関係者のみアクセス可能、社員のみが利用、社員以外も利用など、 そのエリアにおけるセキュリティーの重要度を考慮する必要があります。

以上の2点を踏まえたうえで、3つ目の社員にとって居心地の良い空間になっているか、パフォーマンスを上げてより効率の良い仕事ができるか、考慮する必要があります。

区分けの際に気をつけるべき2つのポイント・注意事項

●レイアウト変更で取り入れたいスペース割合のトレンド

テレワーク化が進み、自社の働き方を再確認するなど先を見越したゾーニングのイメージを持つことが大切です。グラフの基は、「<オフィス面積の変化別>レイアウト配分の変化」(ザイマックス不動産総合研究所、2018年4月~2019年3月の集計)


また、ゾーニングをする際に、どのようなレイアウト・スペースが社員のパフォーマンス向上につながるか、ということを考えておきまししょう。

近年のオフィススペースのトレンドの傾向について調査結果があります。『<オフィス面積の変化別>レイアウト配分の変化』(下記出典)では、オフィス内のレイアウトを「固定席スペース」「会議室」「フレキシブルなスペース」の3種類でわけ、約1年間のオフィス全体の面積変化を調査しています。その結果、上の表のような変化が表れました。

ここで注目したいのが、オフィス面積の拡張、縮小にかかわらず、フレキシブルなスペースが増えている点です。 最近の傾向として社員の共有スペースやリフレッシュコーナーなどのコミュニケーションエリアが拡大している傾向が高くなっているということです。かつては社員数と同数のデスクが必要でしたが、働き方の選択肢が増えている現在はその必要はありません。ワークスペースとコミュニケーションスペースのバランスを考えたゾーニングが、快適なオフィスへとつながります。

グラフ・本文出典:「 <オフィス面積の変化別>レイアウト配分の変化 」 (ザイマックス不動産総合研究所、2018年4月~2019年3月の集計)を基に、H1Oコラム編集部にて作成

■4 タイプ別おすすめオフィスレイアウトパターン

オフィスのレイアウトで最も重要なのが、実際に仕事をするエリアで社員のデスクをどのように配置するかということです。 社員がいかに気持ちよく、効率的に働けるかは、レイアウトが大きく影響します。もちろんレイアウトには、決まった形はありません。フロアの広さや状態、また業種や業務目的などによって、求められるレイアウトは違ってきます。10のオフィスがあれば、レイアウトも10通り。その中からいくつかのレイアウトパターンを紹介しましょう。

●コミュニケーションを重視する企業に有効なレイアウト

HR総研による「『社内コミュニケーション』に関するアンケート調査」(2020年7月1日)によると、実に95%もの人が「社員間のコミュニケーション不足が業務の障害になる」と応えています。どんなにテレワークが進んでも、やはり仕事を進める上でコミュニケーションは欠かせません。

チーム内でのコミュニケーションを重視する企業向けに有効なレイアウトに「対向型」と「グループ型」があります。 「対向型」は別名「島型」とも言い、チームのメンバーが向かい合って座る最も基本的なレイアウトです。この「対向型」の メンバー全体を見渡せる上座の位置にチーム長のデスクを付けたのが「グループ型」です。「対向型」「グループ型」とも、メンバー全員の顔が見えるので、コミュニケーションを取りやすいのがメリットです。

→HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2021 結果報告

●対向型の例

対向型は、メンバーが向かい合って、1つの島(チーム)を構成します。目線を上げるとすぐメンバーが視界に入るので、コミュニケーションが容易なのが特徴。各デスクの境界にパーテーションを付けて、最低限のプライバシーを確保することもできます

●グループ型の例

グループ型は、そのチームのトップがメンバー全員を俯瞰できる位置にデスクを配置します。チーム内での序列がはっきりして管理がしやすいという点が特徴です

●集中力を必要とするクリエーター向けの企業に最適なレイアウト

最大の生産性をあげるためには「1人で集中することが必要」との意見が多数という調査結果が出ています


多くのビジネスパーソンが業務上でのコミュニケーションの大切さを訴える一方で、 約89%の人が、最大の生産性をあげるためには集中力の重要だと考えているようです。とくに高い集中力が求められる職種などの場合、個人のプライバシーが保てるデスク空間が求められます。そうした職種に向いているレイアウトが、各デスクをパーテーションなどで仕切った「ブース型」です。ブース型には、仕切り方によって「クローズ式」と「個室式」があります。

●ブース型の例

ブース型は、自分一人の空間を保つことができるため、集中して仕事ができるメリットがあることが特徴。ブース型には、各デスクの間にパーテーションなどを立てた「クローズ式」(上図左)のほかに、完全に周囲から仕切ることでカプセルのようにした「個室式」(上図右)もあります

●マルチパフォーマーが多い企業が導入したいレイアウト

「コミュニケーションは大切。でも一人で集中できる環境も欲しい」。多くの人はそう思っているはずです。実際に「ヒューマンファースト研究所調査分析レポート」(下記出典)によると、 オフィスに求める価値をビジネスパーソンにリサーチしたところ、オフィス、サテライトオフィスと勤務形態は違っても、コミュニケーションと集中できる場所という2点が高いポイントを得ています。一見相反するこの要望を、バランス良くかなえるためのレイアウトとして、「同向型」「背面型」「クラスター型」「フリーアドレス型」があります。

出典: ヒューマンファースト研究所調査分析レポート#

●同向型の例

全員が同じ方向へ向いている「同向型」。学校の授業中のクラスを思い出す人もいるでしょう。銀行や不動産業などのような接客窓口がある業務に向いているレイアウトでは、対面に人がいないので、ある程度のプライバシーとセキュリティーが確保できるうえに、隣のデスクの人ともコミュニケーションが取りやすいのがメリットです


●背面型の例

メンバーが向き合う「対向型」の反対に、背中あわせで座る「背面型」。他人の視線を気にせずに自分の業務に没頭できる一方、隣の人や振り返えって背後の人ともコミュニケーションが簡単に取ることが可能です。

●クラスター型の例

対称的な方向を向いた2列のデスクで構成される「クラスター型」。対向型と同向型の良い点を組み合わせたレイアウトで、列の間をパーテーションなどで仕切れば、個人のプライバシーは対向型や同向型よりも高く保つことができます。外資系のオフィスによく見られます。

●フリーアドレス型の例

出社したら、どこでも空いている席に自由に座れる「フリーアドレス型」。チームだけで固まる他のレイアウトと違い、それぞれ好きなデスクを使えるので、他部署の人と意見交換しやすいのが特徴。デスクの配置は、対向型にしているところが多いようです

●ABWのレイアウト例

中心にミーティングスペースを設置することで、従業員の回遊性が向上し、コミュニケーションの円滑化にもつながります


ABWの導入に適したレイアウトの一例が上の図です。ABWを指向する従業員数10名前後の企業がオフィスとするケースを想定し、10席ぶんの執務スペースに加え、オープンスペース、ミーティングスペース、仕事の合間にリフレッシュできるリラックススペース、さらには自分の仕事に没頭できる集中力ブースに区分けしています。このように、 シチュエーションによって多様なワーキングスタイルに応えることができるレイアウトがABWの実施には求められます*。コンパクトな中にも、バラエティに富んだ表情を見せる職場環境が、快適さと新たなアイディアの源になっていきます。

■5 オフィスのレイアウトを考える際に重要なデスク選びのポイント

オフィスのレイアウトを考えるうえで、デスク選びは重要なポイントといえます。オフィスの中でも多くのスペースを占めるデスクは、職場の印象に大きな影響を与えるでしょう。


デスクを選ぶときは、機能性やサイズ、デザインなど、さまざまな要素を比較しながら、自社にあった種類を選ぶことをおすすめします。ここではオフィスデスクの種類や、1人あたりのワークスペースの目安を解説します。

●ポイント①デスクは種類ごとの特徴を踏まえたうえで選ぶ

オフィスデスクには、大きく次の4つの種類があります。

・単体のデスク
・大型のロングデスク
・キャスター付きのデスク
・高さが変えられるデスク


単体のデスクは、最もスタンダードなタイプといえます。1人分の作業スペースに加えて、書類などが保管できる引き出しも備わっているので、デスクワークがメインの仕事に向いているでしょう。


大型のロングデスクは、1つのデスクを複数人で使うことを想定して作られた幅の広いタイプでのデスクを指すことが多いです。例えば、幅3600mmのロングデスクなら、2人でゆったりと作業することも、4人でコンパクトに並んで仕事をすることもできるでしょう。人数の増減にも対応しやすいので、テレワークが多い職場や、増員を予定している組織にもおすすめです。


キャスター付きのデスクは、多くの場合、可動性に優れたタイプのデスクです。会議室などで採用されることが多く、柔軟にレイアウトを変更しやすいデスクといえます。収納の省スペース化を実現したい場合は、天板折りたたみ式のデスクを選ぶとよいでしょう。


高さが変えられるデスクは、主に天板の高さを調整する機能が付いた種類のデスクです。「スタンディングミーティングで使用するときは天板を高く」「パソコンで仕事をするときは天板を低く」などと、作業内容に合わせて姿勢が変えられる点が特長といえます。


それぞれのデスクの特徴を踏まえたうえで、自社のオフィス空間にマッチする種類を選びましょう。

●ポイント②1人あたりのワークスペースを考える

一人あたりのワークスペースの目安は、職種によって異なります。一例として、営業職、事務職、技術職のワークスペースは以下を目安にするとよいでしょう。

営業職の目安である幅1000mmは、コンパクトなサイズ感といえます。奥行600〜650mmも、標準的なデスクと比べると小さめですが、小型のノートパソコンであれば、ストレスを感じることなく作業できるでしょう。


事務職の目安は幅1200〜1400mm、奥行650〜700mmです。標準的なデスクサイズとなっており、「書類を広げながらパソコンに入力する」といった作業もスムーズに行える大きさであると考えられます。


技術職の目安である幅1600mm、奥行700〜800mmのオフィスデスクは、存在感のある大きめなサイズといえます。フルサイズキーボードを使ったり、モニターを複数台並べて作業したり、広いワークスペースが必要なときに重宝されるはずです。


職種ごとのワークスペースの目安を参考に、動線なども考慮しながら、快適なオフィスレイアウトに落とし込んでいきましょう。

■6 オフィスのレイアウトをおしゃれにするポイント

最適なオフィスレイアウトは、それぞれの会社によって異なるはずです。人気のレイアウトを取り入れても、自社の業務とマッチしていなければ、期待したような効果が得られない可能性があります。


ここからは、オフィスの機能性を担保しながらも、レイアウトをおしゃれにするポイントを解説します。トップダウンでレイアウトを変更するのではなく、現場の声を聞きながら計画的に進めることで、満足度の高いオフィス空間を目指しましょう。

●ポイント①レイアウトを会社のイメージ・コンセプトに合わせる

企業のブランディングを意識することで、統一感のある空間を構築できるでしょう。オフィスレイアウトは頻繁に変更すると手間もコストもかかるため、あらかじめ中長期的な会社の方針を軸にコンセプトを考えることが大切といえます。


例えば、環境に配慮した商品を展開している企業の場合、「エコフレンドリーなオフィス」というコンセプトが設定できるでしょう。具体的なオフィスデザインとしては、「内装の一部にコーポレートカラーであるグリーンを取り入れる」「オフィスの壁に自社の主力商品をイメージしたデザインを採用する」といった方法が挙げられます。


コンセプトを決めることで、完成後のイメージが掴みやすくなり、一貫性のあるレイアウト計画が立てられるはずです。

●ポイント②エントランスへのこだわりも忘れない

オフィスのレイアウトを考えるときは、エントランスのデザインにこだわることで、自社に好印象を抱いてもらいやすくなる効果が期待できます。


薄暗く手入れされていないエントランスでは、取引先や顧客が不安を感じることもあるでしょう。どれだけ魅力的な商品を扱っていても、相手からの信頼が得られなければ、取引の成立は難しいといえます。


企業の顔であるエントランスを「自社の魅力を発信する場」として捉え、壁紙や床材、植栽を選んでいきましょう。最近ではガラス張りのエントランスが人気ですが、受付や待合スペースが外部から見えないよう配慮することも大切といえます。来訪者がスムーズに応接室や会議室に誘導できるよう、動線設計にも注意しましょう。

●ポイント③おしゃれな家具を配置する

オフィス家具選びでは、機能性とデザイン性を両立させることが重要となるケースが多いです。これまでのオフィスではシンプルなグレーのデスクに黒のオフィスチェアという組み合わせが一般的でしたが、最近では木目調のデザインやファブリックの生地をはじめ、多様な選択肢があるようです。


おしゃれな家具を探すときも自社のコンセプトを意識すると、オフィス空間に合ったアイテムが選びやすくなるでしょう。ただし、色味が多すぎると雑多な印象を与えるため、「メインカラー」「サブカラー」「アクセントカラー」の3つを決めておくのがおすすめです。


オフィスの多様化に伴って、自然を感じられる「バイオフィリックデザイン」も注目を集めているそうです。グリーンにはリラックス効果があるといわれており、社員の心身の健康のために導入する企業が増加傾向にあります。


自社のコンセプトを取り入れながらトレンドを意識したオフィスを目指すなら、以下の記事も参考にしてください。


■2023年 最新のオフィストレンドを解説!これからのオフィスに求められる3つの視点とは?

https://h1o-web.com/cms/html/column/125.html

■オフィス緑化のメリットとは? 具体的な導入方法と注意点を解説

https://h1o-web.com/cms/html/column/192.html



●ポイント④オフィスを利用する社員を思いながらレイアウトを考える

おしゃれなオフィスが構築できても、社員にとって快適な空間でなければ、業務効率が低下してしまう恐れがあるでしょう。レイアウト変更後に、「通路が狭くて移動しづらい」「オフィス機器の場所が遠くなってしまい不便」などの問題が発生しないようにするためには、現場の社員へのヒアリングが大切といえます。


現状の課題を把握し、動線を考慮することで、社員にとって働きやすいレイアウトが見えてくるはずです。課題が複数ある場合は順位を付けたうえで、優先度の高いものからレイアウトに落とし込んでいきましょう。


「集中して作業ができる個室ブースがある」「予約なしで使えるミーティングスペースがある」など、業務に合わせて柔軟な働き方ができるオフィスは、社員にとって快適性を感じやすい空間となり得ます。


また、オフィスに植物を設置するとリラックス効果が期待でき、社員の生産性向上やストレス緩和などの効果も期待できるといわれています。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

●ポイント⑤整理整頓がしやすいように工夫してレイアウトを考慮する

効率的に業務を行うためには、オフィス空間が整理整頓されている必要があると考えられます。おしゃれなオフィスが構築できたとしても、収納スペースが足りていないと、快適な状態を維持することが難しくなるでしょう。


オフィスでは、保管が義務付けられている書類も少なくないため、あらかじめ余裕を持った収納スペースを確保しておくことが重要といえます。また、整理整頓の運用ルールを決めることも効果が期待できるでしょう。


保管義務がない書類については、「書類スペースに入る量しか保管しない」と決めることで、省スペース化につながるはずです。紙媒体の電子化なども実施しながら、整理整頓しやすい環境を整備していきましょう。

■7 オフィスレイアウト用語の振り返り

では、今回キーワードとなった用語などを簡単に解説しましょう。経営者なら知っておくべき、ビジネス上でよく使われる言葉です。

サービスオフィス
:セキュリティーの確保された個室をはじめ、共有スペースや会議室などを提供する賃貸サービス。単なる場所貸しだけでなく、コンシェルジュサービスや人材交流サポートなど各種サービスを提供できるのが特徴

BW
:Activity Based Workingの略。社員が働く場所と時間を自由に選べるオランダ発の新しいワーキングスタイル

■8 オフィスレイアウトを経営戦略として捉えることが重要

アフターコロナを見据えて世界が再起動を始めた今、毎日全社員が決まった時間に同じ場所に集まるという働き方のスタイルは、過去のものになりつつあります。そして、オフィスの役割も従来のものと大きく様変わりしています。これまでのようなオフィスレイアウトが、もはや業務の効率やコスト削減の妨げになっている以上、現状、あるいは未来を見据えた新しいワークプレイスを設置することは喫緊の課題といえるでしょう。 既存の価値観にとらわれない、その企業や職種にあった快適なオフィスを創造することが、企業の生き残り戦略の1つとして大きなウェイトを占めてくる、もはやそんな時代が到来しているのです。

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