拡張移転・縮小移転から考える今後のオフィスのあり方とは?
公開日 2022.03.15 更新日 2022.03.15
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H¹Oに入居した企業様の移転理由は、22%が拡張移転、21%が縮小移転でありほぼ同率です。感染症の拡大に伴い、テレワークが増加した近年では、オフィスの拡張移転・縮小移転における動機も変化しています。その理由としては、オフィスのあり方が時代と共に変化していることが考えられます。
今回は、具体的な拡張移転・縮小移転の事例を解説し、企業が考える今後のオフィスのあり方についても紹介します。
<目次>
■オフィス移転の主な種類
オフィス移転の主な種類には、拡張移転・縮小移転・立地改善移転・スペック改善移転などがあります。その中でも、本記事では一般的な拡張移転と縮小移転について解説します。
●拡張移転
オフィス移転において、より広いオフィスに移転することを拡張移転と呼びます。基本的には、企業が人員を増やすために、広いオフィスを求めるケースが想定されます。業績が好調で、さらなる成長が見込めると考えられ、投資家や取引先などには好意的な印象を抱かれやすい移転です。
●縮小移転
拡張移転とは反対に、より狭いオフィスに移転することを縮小移転といいます。狭いオフィスに移転するメリットとしては、家賃などの固定費の削減があります。業績の悪化が原因で、縮小移転を行なう場合もありますが、必ずしも縮小移転する企業の業績が悪化しているとは限りません。
■オフィスのあり方の変化と共に移転の動機も変化している
ここまでは一般的な拡張移転と縮小移転の意義や、動機について解説しました。しかし、働き方改革や、新型コロナウイルスの影響に伴いテレワークが増加した背景からこれまでの拡張・縮小移転とは異なる動機で移転を検討する企業が増えています。
テレワークを実際に導入した企業は、感染症拡大の影響で大きく数を増やし、多くの企業がテレワークについて知る機会となりました。業種によっては働くために必ずしも出社する必要がない時代であるため、問われてくるのはオフィスの存在意義です。
テレワークを実施して、現在のオフィスが必要ないと判断した企業では縮小移転を実施する企業が増えています。一方で、オフィスの存在を重視し、拡張移転をする企業も存在します。これからの時代は、拡張移転は業績が好調であり、縮小移転は業績が悪化している証であると画一的に考えるのではなく、それぞれの企業がオフィスの意義をどのように考えているのかが重要になります。
■拡張移転における事例
これまでの一般的な拡張移転は、オフィスが狭いことに不便を感じており、人員を増やしたいという動機で行なわれてきました。テレワーク化が進む近年では、オフィスの存在意義を企業ごとに定義し、その理念を基に拡張移転を決定しています。今回は、具体的な事例を2つ紹介します。
●株式会社ココナラ:オフィスは事業を成長させる
知識や経験などを売買できるスキルマーケット「ココナラ」を運営する株式会社ココナラは、2020年8月に五反田から渋谷エリアの大規模オフィスビル「渋谷インフォスタワー」6階に本社オフィスを拡張移転しました。この移転により、ココナラのオフィス面積は170坪から317坪になり、移転前の2倍近い面積となります。
入居契約を締結したのは2019年であり、感染症が拡大する前のことですが、キャンセルすることなく拡張移転に踏み切りました。感染症対策のため2021年7月には出社率を3~4割程度に減少させながらも、オフィスは社員全員で事業を成長させる場と考え、事業成長という軸を捨てることなく、魅力的なオフィスづくりを目指す方針を取っています。
●株式会社Legaseed:永遠に愛され命を持つ会社を目指す
「はたらくを、しあわせに」をスローガンに、人事コンサルティング事業を展開する株式会社Legaseedは、2020年9月に旧オフィスよりも広い約235坪の面積を持つ品川駅の高層ビルの一棟に拡張移転しました。同社は同年3月では全面テレワーク体制に移行していました。
内装はまるでアミューズメントパークのような施設に変化しています。森をイメージした通路や、木目状に組み立てられた秘密基地のような内装の会議室があります。オフィスを通して永遠に愛され命を持つ会社を目指しており、働く社員のことを第一に考えた人事コンサルティング企業ならではの拡張移転といえるでしょう。
■縮小移転における事例
一方で、縮小移転は業績の悪化が連想されることも多い移転でしたが、テレワークの増加により、さまざまな理由で縮小移転する企業が増えています。具体的な事例を2つ見ていきましょう。
●ピクスタ株式会社:オフィスをコミュニケーションの場と再定義
商業利用できる写真やイラストなどの素材を取り扱うマーケットプレイス「PIXTA」を運営するピクスタ株式会社では、2021年2月にNBF渋谷イーストビルの7階に縮小移転しました。面積は約300坪ある旧オフィスから約3分の1に減少しています。
コミュニケーションが取りやすいフリースペースと共有スペースの屋上庭園があります。ピクスタでは、オフィスを業務の場所ではなく、同社の象徴と社員間のコミュニケーションの場として再定義しました。
●株式会社ぐるなび:働き方の多様化と本社オフィスの面積を50%縮小
飲食店の情報掲載サイト「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびは、2020年2月から原則全従業員がリモートワークに移行し、オフィスの面積を50%削減することに成功しました。
同社は、1,300人の従業員がいますが、2021年7月時点での出社率は15%程度です。
ぐるなびでは働き方の多様化を重視しており、従業員の満足度が高めるオフィスを提供し、生産性の向上を目指しています。そのため、現段階において最適なオフィスにすることと今後の状況変化にも対応するために今回のオフィス改革に踏み切りました。
■まとめ
ここまでの具体的な事例で示した通り、近年の拡張・縮小移転は従来の動機とは異なることも多く、企業におけるオフィスのあり方も変化しています。どちらの移転をする場合でも、その理由や、動機を明確にした上で移転することが重要です。拡張・縮小移転を検討している場合は、動機を整理した上で、思い描く理想のオフィスに移転しましょう。
(画像=DigitalGenetics / stock.adobe.com)