レンタルオフィスで法人登記はできる?メリットや注意点、登記する方法について解説
公開日 2023.02.22 更新日 2023.02.22
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起業の際は法人登記を行い、法務局に対して拠点の住所を登録する必要があります。創業したては資金的にオフィスを持つのが難しいかもしれませんが、レンタルオフィスを活用するのがおすすめです。
結論からいうと、レンタルオフィスの住所で法人登記はできます。実際に、少人数のスタートアップや支店やサテライトオフィスとして活用されるケースは少なくありません。
今回はレンタルオフィスの法人登記の具体例やバーチャルオフィスとの違い、登記で利用するメリットや注意点、必要な手続きを解説します。本記事を読めばレンタルオフィスを使うべきか判断でき、登記手続きまで迷いなく進められるようになるでしょう。
<目次>
■【結論】レンタルオフィスで法人登記は可能
会社の設立時は社名や代表者、所在地、事業の目的といった事項を法務局に届け出る法人登記が必要です。法人登記は会社法で定められた義務なので、所定の期間内に行わないとペナルティが課される場合もあります。
法人登記の住所にレンタルオフィスの所在地を利用しても、法律上、何の問題もありません。法人の形態を取っていた方が、取引先や顧客は安心感を得られます。金融機関から融資を受けやすくなり、資金調達の面でも有利です。レンタルオフィスで法人登記を行うメリットは大きいのです。
■レンタルオフィスでの法人登記の代表例
実際に、どのような企業がレンタルオフィスを使用しているのでしょうか。代表例は少人数の企業や、支店やサテライトオフィスとしての活用です。場所代を極力抑えて拠点立ち上げが可能なので、一人起業や少人数のビジネスで好んで使われます。
地方に本社を構える企業の都市拠点として使用されるケースも少なくありません。支店がない地域でも低コストで市場開拓できるので、ビジネスの可能性を広げてくれます。
また、従業員の働きやすさを考慮したときに利点が大きいのも特徴です。
●少人数のスタートアップから成長期
少人数のスタートアップが会社を興す場合、レンタルオフィスの活用を検討するケースが多いです。立ち上げ費用を安く抑えられるので、資金面に余裕がない小規模事業者でも気軽に利用できます。
オフィス内には広さが異なる部屋が複数あり、企業の成長や人員増に合わせてグレードアップが可能です。引っ越しして別のオフィスを構える手間が省けるので、利便性が非常に高いです。
創業初期から成長期まで長期にわたってレンタルオフィスを借りる会社も多く、はじめての事業所でありながらフル活用が期待できます。少人数で起業する場合に、レンタルオフィスを使うメリットは上記だけにとどまりません。
他の利用者とも交流を持ちやすく、雑談を通じてビジネスのアイデアを思いついたり、ビジネスパートナーを見つけたりできる可能性があります。
●支店やサテライトオフィスとして
外国企業が日本に拠点を構える際の支店や、一般的な国内企業のサテライトオフィスとして使われる場合も多いです。複数名の従業員を地方に移す際に、彼らのオフィスを調達するために契約します。
レンタルオフィスは一般的な賃貸オフィスと比べて短期契約が可能です。事業の進捗をみつつ柔軟に利用できるのも利点です。撤退すべきと判断した場合、最小限のコストで済み、傷口が広がりません。
レンタルオフィスは見知らぬ場所で地域に溶け込みやすくなるのもメリットです。地域に詳しいスタッフにエリアの情報を聞く、同じオフィスを利用する他業種の経営者と出会うなどが容易で、ゼロからでもコネクションを作りやすい環境が手に入ります。
サテライトオフィスの定義は「企業の本拠地から離れた場所に設置されたオフィス」です。地方創生の文脈で語られることも多いですが、単にオフィスとして使う場合、通勤や移動時間が短縮する効果を期待できます。
■レンタルオフィスで法人登記を行うメリット

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レンタルオフィスで法人登記を行うメリットは以下の3つです。
・自宅住所を公開する必要がない
・初期投資を抑えられる
・信頼性の高い住所が使える
自宅以外の住所を登記に利用できるため、防犯・安全面で優れています。一般的な賃貸オフィスより料金がリーズナブルで、一等地の信頼性が高い住所を使えるのも利点です。
法人成りする一般的なメリットとして、節税につながることも挙げられます。
●自宅住所を公開する必要がない
起業したての頃は、創業者が居住する自宅を事務所として法人登記を検討する場合が多いです。事務所を借りる費用がかからないのは利点ですが、個人宅の住所を公に晒すことにほかならず、セキュリティ面で不安が残ります。
飛び込み営業の訪問や不審者の侵入リスクを高めてしまう恐れもあります。
賃貸物件のケースでは、大家さんが法人登記を拒否することもあり得ます。ホームぺージや名刺への住所の記載は絶対条件ではないですが、顧客や取引先からの信用を考えると書かないのは極力避けたいところです。レンタルオフィスを活用すれば、個人情報漏洩のリスクを抑えて安全にビジネスを推進できます。
●初期投資を抑えられる
拠点を構える際の初期投資を抑えたいなら、圧倒的にレンタルオフィスを推奨します。敷金や礼金が不要であったり、求められたとしても一般的な賃貸物件と比べてはるかにコストを抑えられたりできるからです。
事務所用の賃貸オフィスを借りる場合、内装工事のコストや敷金が賃料の8ヵ月~12ヵ月分発生します。レンタルオフィスならインターネット回線や電源などがあらかじめ備わっており、設備投資費にかかるコストも大幅に抑えられます。
有人受付や有人受付のレンタルオフィスを選べば、人件費のカットにもつながり、賃貸物件とはトータルの初期費用に著しい差が生じるはずです。
●信頼性の高い住所が使える
レンタルオフィスなら、都心の一等地に拠点を持てるのが強みです。一般的に都心で賃貸物件を契約しようとすると賃料が高すぎるため、小規模事業者やスタートアップが利用できる可能性は低いです。
レンタルオフィスは利用人数に制限がないため、たとえ一人でも一流のビジネス街に拠点を構えられます。有名な地名に住所があると会社の信頼アップにつながり、特に創業したての経営者が自社の信用力を上げる際にはおすすめです。
口座開設や融資審査の際は、担当者が現地視察に出向いたり、Googleストリートビューで確認したりする可能性もあります。取引実績や顧客が少ない中、ブランディングにも活用できるのは大きな利点です。
■レンタルオフィスを契約する場合の注意点
レンタルオフィスを契約する際は、次のとおりさまざまな注意点があります。
・レンタルオフィスによっては法人登記できない場合がある
・運営会社の経営状況を把握する
・口座開設ができない場合もある
・個人の住民登録は不可
法人登記が目的なのに、対応していないオフィスを選んでしまうのは本末転倒です。ホームページの閲覧や担当者への問い合わせをして、法人登記の可否は事前に把握しておきましょう。
●レンタルオフィスによっては法人登記できない場合がある
オフィスによっては住所を持つのは可能でも、法人登記ができない場合もあります。名刺やホームページにレンタルオフィスの住所を掲載して、郵便物の受け渡しもできるのですが、登記は不可としているケースがあります。
法人登記は可能か、契約前に必ず事業者へ確認を取りましょう。ホームページに記載がない場合、問い合わせを行う、もしくは内覧で担当者へ直接聞いてみるのが良いでしょう。
関連事項として紹介しておくと、レンタルオフィスは基本的に個人の住民票登録には対応していません。住民票は生活の拠点となる場所でないと認められないので、事業用途のみの住所では不可となります。
法人登記が可能なレンタルオフィスでも、個室や固定席の利用者のみなど制限を設けている場合があるので確認が必要です。また法人登記を行う場合には別途費用が発生するところもあるので事前に確認しておくと良いでしょう。
●運営会社の経営状況を把握する
レンタルオフィスは事業者が保有、もしくはオーナーから賃貸した物件を転貸する形で使用します。万一事業者が廃業した場合、施設の利用ができなくなってしまうので事前に経営状態を確認しておきましょう。
ホームページに記載されているサービスの運営実績や設立年度、サービス開始時期などは経営状態を判断する指標になり得ます。引っ越し時の登記変更は登録免許税を支払う必要があるため、余計な出費を出さないで済むよう、経営状態が良好な事業者を選ぶようにしてください。
なお、レンタルオフィスを含むフレキシブルオフィス市場の将来性は大きいです。新たに市場へ参入する事業者も増え、単なるテレワーク利用も含めると、市場は今より賑わいを見せるでしょう。
利用者にとっては好ましい状況ですが、競争激化で衰退してしまう事業者が出るリスクも考慮しておきましょう。
●口座開設が難しいケースもある
ほとんどのレンタルオフィスは口座開設に対応していますが、審査基準は施設ごとに異なります。詐欺をはじめ犯罪に悪用されるケースが多く、警察も注視しており、近年は口座開設自体が難しくなっているのが現状です。
一般的には大手の事業者なら口座を作りやすく、逆に小規模なオフィスは開設できない確率が高まります。銀行口座の開設を断られたくなければ、事業内容の信頼性を高めておくのがポイントです。明確な事業実績を示すため、財務や税務に関する資料は申請時に金融機関に対してきちんと明示してください。
営業用資料や印刷したホームページ、顧客や取引先との契約書などもできれば持参すべきです。可否の判断は銀行によっても異なるため、一つの金融機関でダメだったとしても諦めるのは早いです。
立地やアクセスで気に入ったオフィスが見つかったら、粘り強く複数の銀行と交渉を続けましょう。
■レンタルオフィスで登記する方法

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レンタルオフィスで登記する際の基本的なフローは次のとおりです。
1.条件に合うレンタルオフィスを見つける
2.レンタルオフィスの契約を結ぶ
3.法人登記の手続きを行う
契約や登記手続きはどこも大差ないので、最初の自分にあったレンタルオフィスを見つける行程が重要です。あとで後悔しないために見ておくべきポイントは多いので、時間をかけてでも入念にチェックしてください。
●1.条件に合うレンタルオフィスを選ぶ
まずは仕切りの有無や所在地、料金、サービスといった条件を見て、自分に合ったレンタルオフィスを見つけます。オフィスの専有スペースは完全個室タイプと半個室タイプに分かれ、完全個室は天井まで隙間なく仕切られるため防音性は高いです。
空調機器がフロア全体で共有されているタイプだと、部屋ごとの温度調節ができないため注意が必要です。取引先や顧客をオフィスに呼ぶ可能性があるなら、アクセスしやすい立地かどうかも重要なポイント。車で訪問されることも想定して、駐車場付きのオフィスも検討するのが良いでしょう。
契約の内容次第では、更新料や違約金が発生する場合もあります。初期費用が抑えられるのは事実ですが、更新費用やオプション料を加味すると決して安いといえない額に達する可能性があります。
●2.希望のレンタルオフィスを契約する
ビジネスに適した理想のレンタルオフィスを見つけた方は、さっそく契約手続きに進みましょう。契約時には代表者の住民票や印鑑証明書、身分証明書のコピーの提出が必要です。
住民票や印鑑証明書は発行日から3ヵ月以内のものの提出が基本なので、多くの場合、役所へ取りに出向く手間が発生します。オフィスによっては、事業契約書や代表者の経歴が分かる書類の提出が求められる場合もあります。
契約前に必ずやっておきたいのが物件の内覧です。月並みな表現ですが、実際に足を運んで分かることは想定以上に多いです。時間がないから、面倒だからなどの理由で内覧を省くと後のトラブルにつながります。
可能であればチェックリストを作成し、内覧時に一つひとつチェックしていくのが好ましいです。
●3.法人登記をする
レンタルオフィスの法人登記ではさまざまな書類の提出が必要です。以下に代表的な書類を示しますので、確認してみてください。
・登記申請書
・定款
・発起人の同意書
・登録免許税納付用台紙
・代表取締役の印鑑証明書
登記申請書には会社名や所在地を記載する項目があるので、レンタルオフィスの住所を記入します。定款は法人が組織・活動する上で遵守すべき規則を示した書類です。会社を興す際には必ず作成の必要があり、さらに公証役場で公証人による承認を受けなければなりません。
提出書類の種類については最寄りの法務局に確認し、不備がない上で臨みましょう。法務局の窓口に直接持参するほか、オンラインや郵送でも提出可能です。
■まとめ
レンタルオフィスでの法人登記は、個人住所を明かさずに済み、必要最低限の面積で一等地に拠点を構えられるのでおすすめです。すべてのオフィスで登記できるわけではありませんが、メリットが大きいからこそ、ぜひ検討してほしいです。
創業したてのスタートアップや小規模事業者が信用力を示すためには、とくに法人登記は有効です。場合によっては口座開設も可能なので、ビジネスの可能性を広げるためにレンタルオフィスの活用を推奨します。
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