フレキシブルオフィスは働き方改革や新型コロナウィルスの影響で、近年注目されるようになったオフィスの形です。フレキシブルオフィスを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

本記事ではフレキシブルオフィスのメリットに加えて、レンタルオフィスやコワーキングスペース、サテライトオフィスなどとの違いや、フレキシブルオフィスを利用する際の注意点をご紹介します。従来型の賃貸オフィスよりもコストを抑えた方法で、新たなオフィスを構えたいという方は参考にしてみてください。


<目次>

■フレキシブルオフィスとは

フレキシブルオフィスのフレキシブル(flexible)とは、「しなやかなさま・柔軟なさま・融通が利くこと」を意味する形容詞です。一般的な賃貸オフィスに比べて柔軟に利用できるオフィスのことを指し、利用形態が多用なだけでなく、さまざまな契約プランが用意されているなど契約の融通が利くケースが多いのも特徴です。そのため一般的に法人契約が中心となる賃貸オフィスとは異なり、フレキシブルオフィスの多くは、個人事業主やフリーランスでも利用できます。

また賃貸オフィスは数年単位の契約が基本です。一方、フレキシブルオフィスは短期間の契約も可能です。数ヵ月の契約のレンタルオフィスもあれば、ドロップインと呼ばれる時間貸しのコワーキングスペースもあります。

更には、多くのフレキシブルオフィスではデスクやチェア、通信環境など、仕事に必要な設備が一通り揃っているはずです。入居後は特別な準備をしなくとも、すぐに業務に取りかかれるでしょう。

以上のことからフレキシブルオフィスは、テレワークの導入を推し進める企業や、自分らしい働き方を求める社員の双方にメリットがあるオフィスの形と言えます。

災害大国の日本では、非常時の事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)としても、オフィスの分散化が推奨されています。非常時に備えたオフィス分散化の観点からも、フレキシブルオフィスは注目されています。

■フレキシブルオフィスの種類

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フレキシブルオフィスにはいくつかの種類があります。レンタルオフィス・コワーキングスペース・サテライトオフィス・バーチャルオフィスなど呼び方もさまざまで、厳密な定義はありません。このことを前提に、フレキシブルオフィスと総称される下記の4つのオフィスの主な特徴を解説します。

1.レンタルオフィス(サービスオフィス)
2.コワーキングスペース
3.サテライトオフィス
4.シェアオフィス

●レンタルオフィス(サービスオフィス)

レンタルオフィスとは、主に個室のあるフレキシブルオフィスを指します。個室ごとに施錠できる施設も多く、セキュリティやプライバシーの点で優れていると言えるでしょう。レンタルオフィスには個室とは別に共用スペースが用意されているタイプも多く、個室と共用スペースを使い分けることで、より柔軟なスペース活用が可能です。

サービスオフィスは、レンタルオフィスとほぼ同じ意味で使われます。一概に言えませんが、サービスオフィスと呼ばれるタイプは、より充実したサービスを提供しているケースが多い傾向です。例えば、有人の総合受付やラウンジ、会議室の設置、不在時の郵送、宅配の応対などのサービスを提供しているサービスオフィスもあります。

●コワーキングスペース

コワーキングスペースは、オープンスペースを入居者同士で共有するタイプのフレキシブルオフィスで、英語の「CoWorkingspace」は、「Co(共同)」と「Working(働く)」を組み合わせた言葉です。和訳すると、共同で働くスペースの意味です。さまざまな企業の社員や個人事業主が、同じ空間で仕事をすることになります。

コワーキングスペースの多くは、基本的に個室や専有スペースがありません。1つの部屋を複数の企業や個人でシェアして利用するため、シェアオフィスと呼ばれることもあります。

レンタルオフィスとコワーキングスペースの違いは、個室の有無です。コワーキングスペースは共用スペースのみとなり、レンタルオフィスには個室があるタイプも多く存在します。

コワーキングスペースは、フレキシブルオフィスの中でも比較的利用料金が安いのも特徴です。月額制の利用以外に、時間貸しをするドロップインタイプもあるため、利用のハードルが低いタイプのフレキシブルオフィスと言えます。

●サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、企業または団体の本拠地から離れた所に設置されたオフィスのことです。本社を中心としてみたときに、衛星(サテライト)のように存在するため、この名が付いています。

サテライトオフィスは、一般的な支社をよりコンパクトにしたものと考えられます。サテライトオフィスを置く目的は、社員の通勤時間短縮や地方での活動支援、自宅では仕事に集中できない社員の仕事場などさまざまです。

従来型の賃貸オフィスの形で自社専用のサテライトオフィスを設けることもありますが、近年ではレンタルオフィスやサービスオフィス、コワーキングスペースのようなフレキシブルオフィスを、サテライトオフィスとして利用するケースが増えています。

●シェアオフィス

シェアオフィスは、複数の企業や個人がワークスペースを共有するオフィス形態です。レンタルオフィスに共用スペースがあり、複数の企業や個人が同じ空間で働くことがある場合は、シェアオフィスの分類に含まれます。また空間を共有して使用するコワーキングスペースも、シェアオフィスの一形態です。サテライトオフィスとしてシェアオフィスを利用する企業もあります。

シェアオフィスでは、他社の社員や個人事業主など、社外の人との交流を持てます。そのため情報交換や人脈を増やすことも可能です。シェアオフィスでは、契約者同士の交流会を開催している施設もあります。

■フレキシブルオフィスを導入するメリット

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次にフレキシブルオフィス導入のメリットを解説します。利用するメリットは主に次の5つです。
1.利用料・初期費用を安く抑えやすい
2.オフィス移転がしやすい
3.優秀な人材を確保しやすくなる
4.他業種との交流を増やせる
5.従業員のモチベーション・満足度向上につながる

●利用料・初期費用を安く抑えやすい

オフィスを借りる際に、最初に負担する大きな費用が不動産コストです。中小の事業者にとって、事務所の賃貸に必要な初期費用は、決して安い金額ではありません。

特に大きな出費となるのが、敷金でしょう。法人契約の場合、敷金だけで月額賃料の6〜12ヵ月分が必要となるのが一般的です。仮に月額賃料が20万円の物件なら、敷金だけで120万〜240万円もかかります。

一方多くのフレキシブルオフィスでは、敷金にあたる費用がそれほどかかりません。入会費・契約事務手数料、保証金の名目で、月額賃料の1〜2ヵ月分で済むのが一般的です。


また冒頭でお伝えした通り、最初から机や椅子・OA機器や通信設備などが一通り揃っているフレキシブルオフィスを選べば、それらの購入費用も不要です。その他賃貸オフィスでは内装工事が必要な場合もありますが、フレキシブルオフィスでは基本的に、内装工事費も必要ありません。

●オフィス移転がしやすい

事業の状況や社員の増減に合わせてオフィスを移転しやすいのも、フレキシブルオフィスのメリットです。移転先が内装工事や備品類の整備などの不要なフレキシブルオフィスなら、契約後すぐに稼働できるため、時間や手間もかかりません。同じフロア内で異なる広さのオフィスに移ることのできるフレキシブルオフィスを選ぶと、事業の拡大・縮小に合わせて移動することで、新たにオフィスを探す手間や引越し費用の負担が少なくなるのもメリットと言えるでしょう。

●優秀な人材を確保しやすくなる

フレキシブルオフィスの利用次第で、優秀な人材を確保しやすいこともあります。例えば多くの社員が暮らすエリアに近い立地にフレキシブルオフィスを設けると、出産・育児・介護など、家庭の都合によって離職せざるを得なかった人の就労を継続させられる場合もあります。また、都心のさまざまな場所にサテライトオフィスを用意し、通勤先を選べるようにすることで、より広範囲のエリアからアクセスしやすくなるでしょう。働きやすさに配慮してくれる企業だと認識してもらうことで、求人への応募も増えるのではないでしょうか。

●他業種との交流を増やせる

共用スペースのあるレンタルオフィスやコワーキングスペースでは、異業種の人との交流も可能です。異業種のメンバー同士が出会い、情報交換して刺激を受けたり、異業種コラボレーションが成立したりする可能性もあります。

事業の発展は、常に新しい情報を入手する姿勢が大切だと言われています。情報を得るために異業種交流会などに参加する人も少なくないでしょう。その点フレキシブルオフィスなら、交流会などに参加しなくてもオフィス内で異業種の人と交流ができ、情報を得る機会を作ることができます。

●従業員のモチベーション・満足度向上につながる

フレキシブルオフィスを活用した柔軟な働き方の実現は、ワークライフバランスの改善を促して、社員の満足度を向上させることにつながります。モチベーションの向上にも役立つでしょう。

例えば社員の通勤距離を短縮できれば、企業にとっての交通費削減にとどまらず、社員の出勤にかかる時間やストレスを軽減できる効果が見込めます。家庭で過ごす時間を増やせるため、オン・オフの切り替えがしっかりと付くようになったり、休息の時間をしっかり取れるようになったりする余裕も生まれるでしょう。満足度が上がった結果、前述したように優れた人材の確保や、離職率の低下に貢献する可能性もあります。

■フレキシブルオフィスを利用する際の注意点

最後に、フレキシブルオフィスを利用する際の注意点を紹介します。トラブルになったり、余計なコストをかけたりしないためにも参考にしてみてください。

●セキュリティが高いサービスを選ぶ

フレキシブルオフィスは自社以外の人も利用するため、情報漏えいのリスクに注意する必要があります。そのためにはセキュリティが高い施設を選ぶことが重要です。

誰でも利用できる無線LANには、他の利用者がアクセスする可能性もあります。共用スペースで使用する無線LANに、推測されにくいパスワードの設定があるかどうかも確認してください。

よりセキュリティの高いフレキシブルオフィスを選ぶには、個室を使えるサービスの中から、共用の無線LANの使用だけでなく自社でネットワークを手配できるものを探しましょう。

また個室のあるタイプでも、壁の薄い施設では話し声で情報が漏れてしまうかもしれません。セキュリティを重視するなら、関係者以外が自由に出入りできないよう有人受付がある施設や、入退室管理システムが整っている施設を選ぶとよいでしょう。

●利用料以外のオプション費用を確認する

フレキシブルオフィスでは、使用するスペースに応じて料金が異なるだけでなく、利用するサービスに応じてオプション料金が発生するケースもあります。オプション料金が発生するケースで多いのは、荷物受け取りサービスや駐車場の利用、コピー料金、会議室の利用料などです。

自社でよく利用するサービスが、オプションメニューに入っている場合、毎月のランニングコストが高くなってしまう可能性もあります。自社にどのようなサービスが必要で、どれくらいの料金が発生するのかを確認して、オプションサービスを選んでください。

■まとめ

フレキシブルオフィスには、「初期費用を抑えやすい」「移転しやすい」「優秀な人材を確保しやすい」「他業種との交流を増やせる」などのメリットがあります。一方では「セキュリティに不安がある」「オプション料金が発生しやすい」といった注意点もあるため、さまざまな物件を比較した上で、自社のニーズに合った施設を選んでください。

野村不動産グループが運営するサービスオフィス「H¹O」は、共用スペースや会議室を備えたサービスオフィスです。有人受付による来客対応や生体認証によるセキュリティ対策は利用料金に含まれています。フレキシブルオフィス選びの際は、ぜひ「H¹O」のホームページも参考にしてみてください。

https://pixta.jp/

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