オフィス分散によるメリットと注意すべきポイントをご紹介
公開日 2023.04.03 更新日 2023.04.03
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本社以外のさまざまな場所に「社員の働く場所」を置くのが、オフィス分散です。時代の変化に応じた新しい組織の形として、分散型のオフィスを設ける企業も増加しています。
本記事ではオフィス分散が注目される背景や、メリット・注意点を解説します。後半では実際にオフィスを分散している企業の事例もご紹介するので、オフィス分散を検討している企業の方はぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
<目次>
■オフィス分散とは
オフィス分散とは、社員のワークスペースを複数の場所に分散させることです。集約型オフィスのように全員が本社に集まるのでなく、文字通り分散した拠点にて、社員がオンラインツールなどを利用して働きます。
一口にオフィス分散と言っても、本社と別の場所に支社や営業所を置くだけではありません。例えば自宅での業務を許可することもオフィス分散のうちの一つと言えるでしょう。また近年では、レンタルオフィスなどを活用しながら拠点を分散するような手法も、一般的になりつつあります。
■オフィス分散の具体的な方法

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オフィス分散はどのようにして行うのでしょうか。分散先の具体例を挙げながら、分散方法を解説します。
●シェアオフィス
オフィスの分散方法として増えているのが、シェアオフィスの利用です。シェアオフィスとはワークスペースや設備を、他の企業の社員や個人とシェアするレンタルオフィスのことを指します。
シェアオフィスにもさまざまなタイプがあり、目的にあった施設を選ぶ必要があります。分散先に選ばれる施設の代表的なものには、異業種の人々が共用スペースでともに働くコワーキングスペースや、個室があり受付対応などのサービスが充実したサービスオフィスなどが挙げられます。
●サテライトオフィス
サテライトオフィスとは企業の本社から離れた所に、衛星(サテライト)のように設置するオフィスのことです。近年はレンタルオフィスやシェアオフィスをサテライトオフィスに利用する形態が増えています。
サテライトオフィスを設置する目的は企業によってさまざまですが、例えば第二第三の主要拠点を持つために、都市部にサテライトオフィスを置くケースなどがあります。
●テレワーク
テレワークは場所にとらわれない、柔軟な働き方そのものを指します。オフィス分散を実現するに当たって、テレワークは欠かせません。
オフィス分散のためにテレワークを導入する際は、社員に自宅やシェアオフィスなど好きな場所で仕事をしてもらえるよう、連絡手段や通信手段を構築します。社員がシェアオフィスを借りて、テレワークの場とするケースもあります。
■オフィス分散が注目される背景
オフィスを分散すると、社員の多様な働き方に対応でき、地方の人材確保もしやすくなります。万が一の自然災害や感染症の流行・拡大など、外部環境の変化にも対応しやすくなるのも、オフィス分散が注目されている理由の一つです。
日本ではもともと働き方改革の一環として、テレワークを推奨していました。そうした中、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、密になりやすい通勤電車を利用した、従来のワークスペースへの出勤が自主的に制限されるようになりました。結果として、テレワークを導入する企業が増加しました。
また在宅勤務が広まる一方、「自宅では家族が居て仕事に集中できない」、「自宅に通信環境がない」といった社員のために、レンタルオフィスやシェアオフィスを利用する企業が増えました。そうした背景から、オフィス分散が注目されるようになっています。
■オフィス分散のメリット

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オフィスを分散すると、次のようなメリットがあります。
● コストが最適化できる
● 人材採用の幅が広がる
● BCP対策につながる
● 商圏の拡大
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
●コストが最適化できる
オフィスを分散すると、コストの最適化が実現できます。オフィス分散によって本社へ出社する人数が減ると、規模に合わせたスペースに縮小移転することで、従来掛かっていた本社の月額賃料を減らせるかもしれません。本社規模の縮小により、電気・水道といった光熱費のコスト削減にもつながるでしょう。
当然新たなスペースを借りるためのコストは発生しますが、シェアオフィスやレンタルオフィスを採用すれば、多額の敷金(保証金)を必要とする従来型賃貸オフィスのような初期費用がかかりません。
●人材採用の幅が広がる
オフィスを分散させると、人材採用の幅も広がります。通勤に時間がかかるなどの理由でそれまでその企業への応募を見送っていたような人材が、応募してきてくれる可能性が出てくるためです。例えば先述したように、都心のビジネス街へ第二第三の拠点としてサテライトオフィスを増やせば、通勤可能エリアが広がるため、本社への通勤距離が理由で、入社を見送ろうとしているような優秀な人材を、より多く採用できるかもしれません。
●生産性の向上につながる
働く場所が複数あると、社員の多様な働き方の実現に寄与します。多様な働き方が実現すると、社員の生産性能向上にもつながるでしょう。社員の仕事に対するパフォーマンスやモチベーション向上も期待できるためです。
例えば従来の集約型オフィスを採用している企業の中には、「電車で1時間以上かけて満員電車で通勤する社員がたくさん在籍している」というところもあるのではないでしょうか。遠距離通勤は体力を削られ、ストレスも溜まりやすくなります。これがオフィス分散によって通勤不要・または通勤距離が短くなると、日々の通勤で発生していた疲労やストレスが軽減され、仕事のパフォーマンスが向上する可能性が期待できます。
●BCP対策につながる
オフィスを分散させると、BCP対策にもなります。BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字をとったもので、巨大地震や豪雨災害、感染症の流行拡大などの緊急事態に見舞われた際、企業が被害をなるべく抑えて事業を継続する計画のことです。
実際のところ、内閣府・防災担当は2023年時点で、「30年以内に首都圏直下型地震が約7割の確率で発生する可能性がある」と予測しています。(※)機能を一拠点に集中させている企業は、その場所が被災してしまった場合、事業継続が困難になりかねません。オフィスの分散はそうしたリスクの分散にもつながります。
※出典:内閣府(防災担当)「これまでの首都直下地震対策について」
https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/1/pdf/1.pdf(2023-02-12)
●商圏の拡大
社員の働く場所を複数の地域に点在させると、営業可能な範囲が拡大し、商圏の拡大が期待できます。たとえ起業したての会社であっても、同業種の既存企業が少ないエリアに拠点を増やせば、新規顧客を獲得しやすくなるでしょう。またビジネス街に拠点を増やすことによって、そのエリアに拠点を持つ顧客と密にコンタクトを取れるようになり、結果的に売り上げを伸ばせるかもしれません。
■オフィス分散時に注意するポイント
オフィスを分散する際には、以下のようなポイントに注意が必要です。
● コミュニケーション不足に気をつける
● セキュリティ対策を整える
● 評価制度の見直し
● 最適な物件を選択する
それぞれの注意点を詳しくみていきましょう。
●コミュニケーション不足に気をつける
オフィス分散では、社員同士のコミュニケーション不足に気をつけましょう。社員が同僚と離れた場所で業務を進めることで、集約型オフィスでは当たり前だったコミュニケーションが取れなくなる可能性もあるためです。
コミュニケーション不足によるすれ違いなどで業務に支障が出るのを防ぐには、ビジネスチャットツールや、オンラインツールの活用を行い、集まる機会をルールで定めるなどの対策も必要になります。また自宅勤務する社員のストレス軽減を図るため、定期的な面談やメンタルケアの実施も検討に値するでしょう
●セキュリティ対策を整える
分散型オフィスになると、近くに社外の人がいる環境での作業や、自宅のパソコンを利用するケースが考えられます。社外秘情報や個人情報の流出リスクを避けるため、セキュリティ対策を整える必要があります。
在宅勤務する社員には、セキュリティ対策が施されたパソコンやスマートフォンの支給も考えましょう。自社以外の人が出入りするシェアオフィスでは、テレワークの音声が漏れたり、パソコンを覗かれたりすることへの対策も必要です。
シェアオフィスでは個室タイプを選んだり、入室管理システムがあるタイプを選んだりするのも、セキュリティ対策になります。
●評価制度の見直し
オフィス分散では人事評価制度の見直し・改善の検討も必要でしょう。テレワークでは社員の勤務態度をチェックしにくい、勤務時間を管理しにくいなどの課題があるためです。
社員の仕事を把握しにくい中で、評価基準があいまいだと不満もたまりやすくなります。評価方法や基準、評価項目を明確化して共有するなどの対策をしてください。ITツールを積極的に活用して、業務実態の把握に努めるのも有効です。
●最適な物件を選択する
オフィス分散では自社の業種や目的に適した物件を選ぶことが大切です。立地や月額賃料、貸し会議室や応接スペースの有無、サービスの充実度などを比較して自社の目的に合った物件を選んでください。
例えば、オフィスコストの削減が目的なら、利用料金が抑えやすいコワーキングスペースを選ぶ。社員のパフォーマンス向上に期待するなら、リフレッシュスペースのあるタイプやサービスの充実したタイプを選ぶなどです。
■オフィス分散を行っている企業の事例
最後に実際にオフィス分散を行っている企業について、どのように取り組み、どのような成果を挙げているのか特集している資料がございます。今後、オフィス分散を検討している方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
※出典:東京都(TOKYO)はたらくNET「都内企業に学ぶ働き方改革に向けたサテライトオフィス活用事例集」
https://www.hataraku.metro.tok...
■まとめ
オフィス分散は時代の変化に伴い、増えている形態です。オフィス分散には生産性の向上・人材採用の幅が広がる・コストの最適化・BCP対策・商圏の拡大などさまざまなメリットがあります。利用してメリットを実感する企業も多いため、今後も分散化は進んでいくかもしれません。
オフィス分散を検討している企業の方は、野村不動産グループが運営するサービスオフィス「H¹O」もご検討ください。「H¹O」は個室と共用スペースを兼ね備えたサービスオフィスです。有人受付による来客対応や顔認証・指紋認証によるセキュリティ対策も利用できます。オフィス分散を考えている企業の方は、「H¹O」のホームページも参考にしてみてください。
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