スタートアップの採用を成功させるには? 戦略立てや失敗しないための考え方の解説
公開日 2023.09.06 更新日 2023.09.07
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日本でも次々と新たな企業が誕生している今、スタートアップ企業の多くが抱える問題の一つに「採用の難しさ」が挙げられます。スタートアップ企業の採用は大手企業や中小企業 が抱える一般的な課題とは異なる性質を持つ場合もあるため、苦戦している企業のご担当者様もいるでしょう。
そこで本記事では、スタートアップ企業の採用における課題やよくある失敗、成功させるためのポイントについてまとめました。成功する採用のための採用基準もご紹介しますので、スタートアップ企業で採用にお悩みのご担当 の方は、ぜひ参考にしてみてください。
<目次>
■スタートアップの採用における課題
スタートアップ企業は、大手企業や中小企業とは異なる採用の課題を抱えやすいです。よくある課題を4つご紹介します。
●優秀な人材を確保するためのルート・やり方が分からない
優秀な人材を確保しようにも、確保のためのルートややり方が分からず苦戦してしまうスタートアップ企業は少なくないでしょう。
人材の質が業績に大きく影響するスタートアップ企業では、大手企業や中小企業以上に優秀な人材を確保できるかどうかが重要なポイントといえます。優秀な人材の確保は大手企業でも苦戦するほど競争率が高く、コツを押さえた採用活動が必要となる傾向にあります。
しかし、スタートアップ企業の場合、歴史が浅い分、「いざ採用」というタイミングで社内に十分なノウハウが蓄積されていないような状況も起こり得るでしょう。どのようなルートや方法で優秀な人材を確保すればよいのかを分かっていなければ、せっかく求める人材が面接に来てくれても、採用 に至れないこともあり得ます。
なお、人材確保のためのルートややり方は、大手企業や中小企業、他のスタートアップ企業の採用戦略を参考にするのも一つの方法です。成功事例を参考にしつつ、自社の求める人材に合った採用ルートや手法を検討してみましょう。また、スタートアップ企業のサポート実績が豊富な採用サービスの利用を検討するのもおすすめです。
●知名度・実績がなく応募が集まらない
知名度や実績のなさも、スタートアップ企業の採用における課題の一つです。求職者が求人をチェックする際は業務内容や待遇などに加え、企業の名前や実績も当然目に入ります。
そのため、求人票が有名企業や好調な業績を誇る企業と並んでしまうと、現時点では知名度や実績が十分にないスタートアップ企業の場合、求職者の興味や応募意欲を引き出せない可能性があります。その結果エントリー数も伸びづらくなる傾向にあるため、限られた人材の中から自社に合った優秀な人材を探さなければならず、思うように採用が進められないようなケースもあるでしょう。
また、求職者のなかには、スタートアップ企業の労働条件や待遇に偏ったイメージを持つ人もいます。「仕事が大変そう」「無理な仕事を任されそう」などの印象から敬遠されてしまい、さらに応募が集まらないようなケースもあり得ます。
●自社の採用担当者が確保できない
自社で採用担当者を確保することが難しいことも、スタートアップ企業の採用における課題といえます。スタートアップならではの少数精鋭体制のなか、人事や採用の専門家がいないことで、知識や経験を全く持っていない人が採用を行わなければならないケースも考えられるでしょう。
一人の社員に他の業務と並行して採用を担当してもらうこともあるかもしれないです。そうなると、人的リソースが足りていないにもかかわらず、採用に十分な労力を割けないような状況に陥ってしまうことが懸念されます。採用のプロセスを理解できていないため、効果的なアプローチができなかったり、採用してもミスマッチが起きたりすることもあり得ます。
●採用コストが限定的
採用にかけられるコストが限定的であることも、スタートアップ企業の採用の場面に多い課題の一つです。全ての企業にいえることではありますが、特に成長段階にあるスタートアップ企業はさまざまな部分でコストが必要となるので、採用ばかりにコストをかけられないことが多いです。
求人広告の大量出稿や採用イベントを実施したくても予算が割けないような状況となり、求職者に効果的なアピールができないケースもあるでしょう。その場合エントリーが少なくなってしまい、求める人材を集められる可能性も下がってしまうはずです。
スタートアップ企業が求める人材を確保するには、限定的なコストをやりくりして、どのようにして効率的に求職者にアプローチするか綿密な戦略を立てる必要があるといえます。大手企業や他のスタートアップ企業の採用活動を参考にしつつ、自社独自の工夫を検討することも大切です。
■スタートアップの採用によくある失敗
課題の多いスタートアップ企業の採用では、どのような失敗が起こりやすいのでしょう。次に、陥りがちな失敗を3つご紹介します。
●採用基準が高い
スタートアップ企業は人材育成にかけられるコストや人員、時間が限られる傾向にあるため、即戦力として活躍できる人材を求めがちです。しかし即戦力になる人材は、当然、競争率も高いです。
それにもかかわらず、スキルや能力、保有している資格に厳しい条件を求めてしまうと、マッチする人材の母数が限られてしまい、応募者を集められなくなってしまうことが懸念されます。もちろんある程度の採用基準を設けることは大切ですが、必要以上に高い基準になっていないか見直してみる必要があるでしょう。
●企業カルチャーとのミスマッチが起こる
せっかく採用したとしても、企業カルチャーやビジョンとのミスマッチが起こると、早期離職につながってしまいます。スタートアップ企業の採用ではありがちな失敗といえるでしょう。
スタートアップ企業に限らず、企業カルチャーやビジョンと個人の価値観がマッチしていなければ、人材を定着させるのは難しいです。特にスタートアップ企業の場合、少数精鋭の人員が密にコミュニケーションを取りながら、企業カルチャーを作り上げていく傾向にあります。既存の社員によって作り上げられた企業カルチャーとマッチしなければ、新しく入社した人材は働きづらさを感じてしまう可能性があります。
採用前に業務体験や交流会を行うなどし、企業カルチャーを十分に伝える機会を設けることで、ミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。
●期待していたスキル・能力とのギャップがある
人材に期待していたスキル・能力と、採用した人材の持つ実際のスキル・能力にギャップが出てしまうことも、スタートアップ企業の採用でよくある失敗の一つといえます。
求めるスキル・能力を持った人材を採用するには、選考プロセスで一人ひとりの応募者をしっかりと見極める必要があるでしょう。しかし先ほどもお話しした通り、スタートアップ企業では採用担当者に十分な経験やノウハウがないことも多いので、見極めがうまくできない場合もあり得ます。
即戦力として採用した人材に期待していたスキル・能力がなければ、業務にも大きな影響が及んでしまうでしょう。再度求めるスキル・能力を持つ人材を採用しようにも、その分さらにコストや時間がかかります。選考時点でさまざまな角度からアプローチし、本当に求めるスキル・能力を持ち合わせた人材かどうかを見極めましょう。
■スタートアップの採用を成功させるポイント

課題が多く、難しいといわれるスタートアップ企業の採用ですが、成功させるにはどのようにすればよいのでしょうか。これから採用を行うスタートアップ企業の採用担当 の方が押さえておきたいポイントをご紹介します。
●採用対象のターゲットの見極め
スタートアップ企業の採用を成功させるには、どのような人材を採用対象とするのか、ターゲットの見極めを行うことが大切といえます。即戦力として活躍できる人材が欲しいのか、成長意欲と将来性のある人材が欲しいのか、マネージャーとして社内をまとめられる人材が欲しいのか等、ターゲットを明確に見極めてください。また、自社のフェーズや既存の社員が持つスキル・能力を踏まえ、自社に足りない人材を明確にしましょう。
同時に、どういった人物であれば自社で活躍できる素地を持っているのかを分析し、十分な検討を行うことも大切といえます。分析・検討内容に沿って採用活動を行えば、自社にマッチする人材が見つけやすくなるでしょう。
・採用対象者は、正社員か業務委託か
正社員として採用するのか、業務委託として契約するのかも、採用を成功させるために押さえておきたい要素です。正社員ではなく業務委託として必要なスキル・能力を持つ人材と契約するスタートアップ企業は、今やめずらしくはありません。
確かに正社員として雇用をした方が、将来的に会社のコアとなって活躍していくような人材は育てやすい可能性はあります。しかし、他の企業でも重宝されるような即戦力の優秀な人材は、なかなか確保できないのが現状です。そこで正社員という形ばかりにこだわるのではなく、業務委託という選択肢を考える必要も出てくるでしょう。
業務委託であれば、専門としている業務に集中して取り組むことができるので、効率的に仕事に取り組んでもらえると期待できます。近年は一つのスキル・能力に特化した優秀なフリーランサーも増えているため、自社に足りないスキル・能力だけを補い、即戦力として活躍してもらうこともできるでしょう。まずは業務委託の形で自社に携わってもらいながら、将来的には自社の正社員というポジションを提示するのも一つの手法です。
なお、業務委託の採用を進める場合は、既存の社員の持つスキル・能力を踏まえ、どういったスキル・能力が必要なのか見極めておくとよいです。
●中長期的な採用計画の実行
イノベーションを起こすことで急成長を目指すスタートアップ企業の場合、事業の目標を近い将来に置いているため、その分短期的な採用計画を立ててしまいがちです。しかし、企業の認知度や実績が不十分で、自社の採用担当者も経験やノウハウが足りなければ、理想通りの人材を採用するのはなかなか難しいでしょう。
採用に関しては、やはり中長期的な採用計画を立てて、実行していくことが大切といえます。採用活動の計画開始時点をスタートとし、育成研修終了までの計画を立てましょう。若手の人材は、即戦力として活躍してもらうのは難しいものの、採用難易度が低い傾向にあります。また新たな価値観を柔軟に受け入れやすいため、企業カルチャーにも順応できる可能性が高いです。人材育成に時間やコストをかけづらいスタートアップ企業でも、若手を育成すれば、将来コアメンバーとして会社を引っ張ってくれる人材として成長してくれる可能性があります。
若手の育成と同時に中長期的に取り組みたいのが、採用担当者の育成です。十分な経験やノウハウがない人材が採用を担当するには、必要なスキル・能力を身に付けていく必要があるでしょう。スタートアップ企業の採用担当者に求められるのは、主に以下のようなスキル・能力です。
● コミュニケーション能力
● 社員をまとめる調整力・交渉力
● 人材を見極める洞察力
● 採用マーケティングに関する知識
● 企業カルチャーやビジョンを伝える力
採用担当者が育てば採用活動の精度が上がり、自社が本当に求める優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
●採用基準の明確化
採用基準を明確化し、具体的な採用ペルソナを設定しましょう。
単にスキルや能力を抽象的に羅列するのではなく、数値などを用いながら、できる限り具体化させることが大切といえます。例えば、ITエンジニアを採用する場合、採用条件に「ITスキル」と抽象的に示すのではなく、「システム開発経験5年以上」「情報セキュリティスペシャリスト保有者」といったように具体化していきましょう。期待するスキル・能力とのギャップが生まれないよう、選考プロセス中にデモンストレーションや実技試験を行うのも一つの方法です。
また、企業カルチャーやビジョンを基に、どのようなバックグラウンドやエピソードを持つ人材を求めるのかも言語化しておきましょう。ペルソナが明確になれば、採用に関わる全ての人で基準を共有できます。人物像は抽象的な評価になりやすいので、点数化して採用担当者ごとに評価がバラつかないようにしておくのもおすすめです。
採用基準を明確にしておけば、ミスマッチが防げる上、社内リソースが限定的なスタートアップ企業でもある程度効率的に採用を進められます。企業側が交通費の負担・補助を行う場合はどの範囲まで負担・補助するのかも明確にしておきましょう。
●採用段階での企業カルチャーマッチの訴求と確認
せっかく採用した人材が企業カルチャーとのミスマッチで離職してしまうのは、会社にとって大きな痛手となるはずです。ミスマッチを防ぐために、採用段階から企業カルチャーマッチの訴求と確認も行いましょう。
企業カルチャーを訴求する方法にはさまざまなものがありますが、SNSを活用し、自社の企業カルチャーやビジョン、価値観などを積極的に発信するのがおすすめです。SNSは基本的に無料で利用でき、経営者や現場で働く社員の思いを明確に伝えやすい手段です。
動画や画像を活用することで、企業カルチャーや価値観を効果的に伝えられるでしょう。継続して発信を続けると、企業アカウントのファンが増え、企業の認知度アップにもつながる効果が期待できます。SNSの活用と同時に自社サイトも構築し、企業のブランド力を高めることも大切といえます。
さらには業務体験やオフィス見学ツアーなどを企画し、求職者に自社の魅力を実際に体験してもらうのも一つの方法です。オンラインだけでは伝わらない企業カルチャーやビジョン、自社の魅力を感じてもらえる機会となるため、ミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。
継続的な情報発信とオフラインでの訴求を行ったら、選考で企業カルチャーやビジョンに共感できているかを確認してみてください。また、内定者が決まってからも、改めて自社のカルチャーやビジョンを伝え、企業への理解を深めてもらうとよいでしょう。
■スタートアップにおける採用基準

もちろん企業によっても異なりますが、多くのスタートアップ企業に共通している採用基準にはどのようなものがあるのでしょうか。
常に変化があるスタートアップ企業では、成長意欲は必要不可欠といえます。少数精鋭で業務を行うので、個々の能力・スキルが会社の成長に大きく影響するでしょう。そのため自分に不足しているスキルや能力を補い、成長を目指して努力できることは、スタートアップ企業で活躍する人材に欠かせない能力である場合が多いです。自分で考えて行動できる積極性も必要となるでしょう。
また、スピード感が求められるスタートアップ企業の現場では、臨機応変な対応ができる人材かどうかも、重要なポイントとなるでしょう。目まぐるしく起こる変化に対し、柔軟な考えで向き合える高い対応力が必要といえます。高いスキル・能力を持った人材だったとしても、柔軟な対応が難しければ、企業が求める働きぶりは期待できない場合もあります。
そして、大手企業や中小企業と違い、組織体制が出来上がっていないことも多いスタートアップ企業では、自分で意思決定ができる人材かどうかも重要な要素といえます。意思決定には責任が伴いますが、それを楽しめる人材は、きっとスタートアップ企業で活躍できるでしょう。選考で過去に自分が行った決断に関するエピソードや、トラブルへの対処法などを質問してみるのもおすすめです。
さらには、企業カルチャーやビジョンに共感できる人材を選ぶことも、重要な採用基準となるはずです。少人数で試行錯誤しながら業務に取り組む必要があるスタートアップ企業では、現場で働く人材が企業と同じ方向を向いている状態が望ましいでしょう。企業カルチャーやビジョンに共感できる人材なら、問題が起きたときも前向きに取り組み続けられると期待できます。高いスキル・能力を求めすぎるがあまり、企業カルチャーやビジョンへの共感を蔑ろにしないように注意してください。
なお、多くのスタートアップ企業に共通する採用基準をご紹介しましたが、採用の目的はあくまでも、自社で活躍できる人材を仲間にすることです。ここまでにご紹介した採用基準を踏まえて、自社に足りていない人材や、今後取り組む事業に必要な人材を見極め、自社なりの採用基準を明確にしましょう。
■スタートアップ企業にはレンタルオフィスがおすすめな理由
スタートアップ企業にとっては、どこにオフィスを構えるかも頭を悩ませやすい問題です。最近は自由度の高いオフィスも登場していますが、スタートアップ企業には業務に必要なものがそろったレンタルオフィスがおすすめです。
個室オフィスでプライバシーを守りつつも、受付や共有ラウンジ、会議室や事務機器などを他社とシェアするレンタルオフィスは、来客対応がしやすいのがメリットといえます。また、オフィスに必要な機能を利用者同士で共有することで、オフィスにかかるコストを大きく抑えられるでしょう。
最近は立地やデザインなどにこだわったレンタルオフィスも増えており、面接に来た求職者や取引先に対してのブランディングにもなり得ます。出社とテレワークの併用もしやすいため、求職者に対し、自由な働き方ができることのアピール材料にもなるでしょう。
レンタルオフィスには、他のスタートアップ企業が入っていることも多いです。他の企業と交流を図ることで刺激を受け、そこから新たなイノベーションが生まれる可能性もあります。オフィス選びに迷っている方は、ぜひレンタルオフィスを検討してみてください。
■まとめ
本記事ではスタートアップ企業の採用における課題やよくある失敗、成功させるためのポイントなどをご紹介しました。さまざまな課題を抱えるスタートアップ企業の採用ですが、成功させるにはポイントを一つずつ押さえ、自社が本当に必要とする人材を見極めて、採用活動を進めていく必要があるでしょう。本記事を参考に自社の採用基準を見直し、ターゲットや採用基準を明確にするところから始めてみてください。
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