小規模オフィスを選ぶメリット・デメリットは? レイアウトのポイントも解説
公開日 2023.11.13 更新日 2023.11.17
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近年、小規模オフィスは 低コストで運用できる時代に即したオフィススタイルとして、注目されつつあるようです。しかし、新しく流行しているスタイルだけに、小規模オフィスをどのように作り運営すべきかで迷っている企業も多いことでしょう。
本記事では、小規模オフィスのメリットや、小規模オフィスのレイアウトのポイントなどをご紹介します。コストを抑える方法にも触れるので、小規模オフィス構築の際の参考にしてください。
<目次>
■小規模オフィスとは?
一般的に小規模オフィスとは、面積や規模の小さなオフィスを指す言葉です。一つの小規模オフィスで働く従業員の数は、目安として1人から最大でも6人程度で、デスクや設備も人数にあわせてコンパクトに作られる傾向にあります。
このような小規模オフィスは、1人だけで起業する場合や、少人数の会社を立ち上げるときに選ばれやすいスタイルといえるでしょう。レイアウトも比較的自由で、個々の意見が取り入れやすいことも特徴として挙げられます。
■小規模オフィスを選ぶメリット

小規模オフィスには、大規模なオフィスにはないメリットがいくつもあると考えられます。小規模オフィスを選ぶ主なメリットについて、今回は以下の3点をご紹介します。
・少ないコストでオフィスを開設できる
・オフィスのレイアウトを統一しやすい
・コミュニケーションを取りやすい
一つずつ見ていきましょう。
●少ないコストでオフィスを開設できる
小規模オフィスは、オフィスの規模が小さいため敷金・賃料などを低く抑えられる傾向にあります。
働く人数が少ないことから、人数に合わせて用意するデスクなどのオフィス用品や設備に掛ける金額が増えにくいことも特徴といえます。用意する数が少なく済み、資金に余裕があれば、デスクやイス、パソコンのスペックなどにこだわることも可能となるでしょう。
とりわけ「事業を始めたばかり」「運用資金が潤沢でない」といった環境下にあるスタートアップ企業の場合は、オフィスそのものに掛けられる金額が限られる場合がほとんどのため、少ないコストでオフィスが開設できるのは大きなメリットとなるケースは多いはずです。
また、オフィスとは継続して使っていくものですが、小規模なオフィスなら 照明代や空調に掛かる費用も節減しやすい傾向にあります。オフィスの規模が小さければオフィス物件の賃料も比較的安価となるため、ランニングコストの面でも、総じて小規模オフィスはローコストであるといえるでしょう。
オフィスを準備する段階から、先々にわたってコストを節減していきたいのであれば、小規模オフィスは有効な選択肢の一つとなるはずです。
●オフィスのレイアウトを統一しやすい
小規模オフィスでは、スペースに限りはありますが、それゆえに空間全体のイメージを統一しやすくなるでしょう。
広いオフィスでは用意しなければならないデスクや椅子、棚などの什器類が多く、時間を置いて追加するようなものがあるとデザインが不揃いになっていくことが難点といえます。小規模オフィスであれば、必要とする什器類の数が少ないため、オフィスの内部を統一したデザインでレイアウトしやすいと考えられます
オフィスのレイアウトは企業ブランディングにつながるポイントの一つといえます。モダンであるか、クラシックであるか、落ち着きがあるか、先進的かなど、社外の人がオフィスを訪問したときに社のイメージに直結するかもしれません。これは従業員に対しても同様で、統一されたレイアウトは企業風土として社内外に影響を与えられる可能性があります。
●コミュニケーションを取りやすい
小規模オフィスは従業員同士の物理的距離が近いため、コミュニケーションを取りやすくなるでしょう。
広いオフィスでお互いの物理的な距離が遠い場合、ささいな連絡を伝えるにも足を運ぶか、社内メールや電話を使うなどの手間が掛かりやすいです。ほんの少しの労力だとしても、自分の作業の手を止めることで負担を感じ、連絡を怠ったり、不明なところを自分だけで解決したりしようとする人が増えるかもしれません。場合によっては、声を掛けづらいことや、意思疎通しにくいことが、人間関係のトラブルにつながることもあり得ます。
物理的な距離が近ければ、お互いに気軽に声を掛けられるため、コミュニケーション不足によるミスや人間関係トラブルを防ぐことができるでしょう。
■小規模オフィスを選ぶデメリット・注意点
小規模オフィスでは、スペースが限られるため設置する家具やレイアウトを工夫する必要がある場合が多いです。したがって小規模オフィスを開設する際は、以下のポイントに注意しましょう。
・作業スペースが制限される
・空間を仕切りすぎると圧迫感がある
ここでは、小規模オフィスにおけるそれぞれのデメリット(注意点)とその対策方法について解説します。
●作業スペースが制限される
小規模オフィスでは、オフィス全体の面積が限られるため、一人ひとりの作業スペースが狭くなる可能性があります。
オフィスが手狭に感じられてしまう場合、ABW(Activity Based Working)やテレワークを導入し、オフィス以外でも仕事ができる環境を整備すると、不便が改善されやすいでしょう。
ABWとは、従業員がその日の業務内容や自身のコンディションによって、働く場所を自由に選択できる 考え方を指すのが一般的です。オフィス内だけでなく、場合によってはカフェなどの社外でも仕事ができるようにすることで、従業員全員がデスクにとどまる圧迫感や不便を解消できると考えられます。
チームで会議が必要であるにもかかわらず、社内に十分なスペースがないと感じるのであれば、 社外のスペースを活用する工夫も有効でしょう。テレワークをメインにしたり、曜日ごとに出社する人のローテーションを組んだりと、従業員の出社頻度を少なくすることも効果的なはずです。
また、書類が多く収納スペースが少ないために、オフィスが手狭になるケースもあるかもしれません。この場合は、ペーパーレス化を図るなどの工夫が求められるでしょう。
●空間を仕切りすぎると圧迫感がある
オフィスでは、個人の空間を確保する、会議スペースを作るなど、目的ごとに空間を仕切りたい場合も多いです。しかし、小規模オフィスの限られた空間に仕切りを設置しすぎると、圧迫感があり、従業員のストレスになりかねません。
小規模オフィスで空間を仕切りたい場合、仕切りの高さや色・透明度など、状況に応じて工夫するのがおすすめです。高さを抑えて天井が広く見えるようにしたり、下半分はスチールでも上半分が半透明ガラスになっているものを選んだりすることで、圧迫感を抑えながら空間を仕切ることができるでしょう。
視線を遮る必要がないが音は遮りたい打ち合わせスペースには、全て透明な背の高い仕切りを選ぶ、個人のスペースには透明でない低めの仕切りを選ぶなど、工夫してみましょう。
■小規模オフィスのレイアウトで意識するポイント
小規模オフィスのレイアウトを工夫すると、限られた空間を上手に使い、従業員の高いパフォーマンスを実現しやすくなると考えられます。
小規模オフィスのレイアウトでは、以下のような点を意識するのがおすすめです。
・コンセプトを明確にする
・ゾーニングを意識する
・空間の統一感を考える
・家具や観葉植物を有効活用する
・音によるストレスに注意する
・増員の可能性も考えてレイアウト設計する
それぞれについて詳しく解説します。
●コンセプトを明確にする
オフィスをデザインする前に、オフィスからどんなメッセージを発信したいか、どんなテイストの空間にしたいのか、といったコンセプトを決めるとよいでしょう。
先述のとおり、オフィス内のデザインは社内外に自社のブランドの持つビジョンを発信する手段の一つといえます。従業員や来社した取引先に、自社についてどのようなイメージを与えたいのかによって、デザインを戦略的に選ぶことが有効となる場合があるでしょう。
オフィスのコンセプトが明確になると、デザインが決まってくるはずです。例えば、健康や活気を重視するなら「明るいビタミンカラーで元気が出るオフィス」、環境問題への取り組みを前面に出すなら「自然の素材を取り入れた木のぬくもりを感じられるオフィス」など、アイデアを出し合いながらテーマを決めていくとよいでしょう。
●ゾーニングを意識する
ゾーニングとは、空間を区分けすることを指すのが一般的です。区分することによって空間を効率よく活用することがゾーニングを意識する際の目的と なる事が多いです。
小規模オフィスでは、一人ひとりが働きやすい環境をつくるため のゾーニングが重要なポイントとなるでしょう。オフィスのエントランス、個人の作業エリア、会議室、応接室、収納スペースなど、さまざまな区画でゾーニングを検討するとよいといわれています。
この中でも頻繁に使う場所をできるだけ広く取る工夫をし、従業員の動線を意識すると、使いやすく、効率よく仕事のできるオフィスを実現しやすくなるでしょう。例えば、来客が多いオフィスでは、応接室を広めに取る他、作業エリアと応接室が近いと便利です。
●空間の統一感を考える
オフィスデザインにおいては、空間の統一感を意識すると、小規模オフィスをよりスマートに見せられるといわれています。オフィスデザインに統一感を持たせるためには、内装と家具の調和を意識するとよいでしょう。
空間の統一感は、オフィスのコンセプトに通じるポイントともいえます。コンセプトにおいて主張したかったものを、内装はもちろん、家具選びにも活かしましょう。
例えば、シンプルでモダンなイメージを作りたい場合は、壁を白、家具類を黒にするとコントラストが生まれ、オフィスの印象を変えられるはずです。リラックスしたいオフィスでは、木目調のデスクに、床をグレー、椅子にグリーンなどを取り入れることで、統一感のある空間を演出できるでしょう。
●家具や観葉植物を有効活用する
小規模オフィスでは、多くのパーテーションを利用して空間を仕切ることで一つひとつの空間が狭くなりがちです。そのため、仕切りとして家具や観葉植物を有効活用すると、空間を狭めずに分割できるでしょう。
例えば、収納ができてある程度高さのある家具を置く、人の目線の高さくらいの観葉植物を仕切りたい場所に置くなど、身近なものを有効活用して快適な空間を作る工夫も取り入れてみてください。
背の高いキャビネットであれば、反対側の空間を視覚的にも、音響的にも遮りながら、資料を収納できるはずです。間仕切りはもちろん、収納場所も限られてしまいがちな小規模オフィスにはおすすめの仕切り方といえます。観葉植物は、場所を区切りながら従業員や来客をリラックスさせる効果を狙えるでしょう。
●音によるストレスに注意する
オフィスにはコピー機やシュレッダーなど、音が出る機材・設備もあるでしょう。小規模オフィスでは従業員の作業スペースと、こうした機械との距離が取りづらいため、オフィスの機器から出る音が従業員のストレスになりかねません。
また、会議室の声にも注意が必要です。会議の声が聞こえると、作業スペースの従業員が集中しにくいだけでなく、個人面談など他の従業員に聞かれたくない話もしづらくなるでしょう。そのため、小規模オフィスでは従業員が音によって感じるストレスを減らす配慮が必要とされます。
例えば、音の大きな機械類は個人の作業スペースと離して設置する、会議室は遮音性の高い壁を使いブース化するなどの方法がおすすめです。
なお、オフィス内にトイレがある場合、従業員にトイレの音が聞こえないようなレイアウトを考えたり、オフィス内に音楽を流したりといった配慮もした方がよいでしょう。
小規模な空間で複数の人が過ごすため、できるだけ音によるストレスをなくすように意識することが重要といえます。
●増員の可能性も考えてレイアウト設計する
小規模オフィスは基本的に少人数で利用するものですが、事業の拡大を目指すなら、将来的に従業員の増員も考慮しておきたいポイントといえます。
増員によってオフィスにスペースが足りなくなってしまった場合や、配線などに手を加える必要が出てきてしまった場合は、大規模な工事に発展することもあります。従来のレイアウトに大幅に手を加えるとなると、費用も掛かるでしょう。
そのため、小規模オフィスの内装を企画するときは、従業員の増員を見越して、いくつか余分にデスクを置いたり席を設置したりできるスペースを確保した上で、レイアウトの設計を行うように意識してください。
■コストを抑えて小規模オフィスを実現する方法

小規模オフィスを実現する方法は、人数や事務所の規模に見合った賃貸オフィスを契約することが一般的です。しかし、それ以外にも コストを抑えながら小規模オフィスを実現できる、いくつかのサービスがあると考えられます。
以下では、小規模オフィス実現のために利用したいサービスをご紹介します。いずれも入退去時の敷金・改修工事費・原状回復費など、賃貸オフィスで必要なコストを減らすことにつながるため、イニシャルコストやさまざまなコストの削減につながるでしょう。
コストを上手に抑制しながら小規模オフィスを実現したい場合は、ぜひ取り入れてみてください。
●レンタルオフィス
レンタルオフィスとは、名前のとおり、オフィスそのものをレンタルできるサービスを指すのが一般的です。
賃貸オフィスとの違いは、レンタルオフィスにはオフィスとしての機能がすでに備わっている点といえます。賃貸オフィスでは、内装や家具、インターネット回線などを自社で用意する場合がほとんどです。しかし、レンタルオフィスは入居時にこれらの設備の多くが備わっているため、大幅なコストカットにつながるでしょう。
また、レンタルオフィスは契約してから仕事を始めるまでの期間を比較的短くできることも魅力です。通常の賃貸オフィスでは、契約後、入居するまでに、内装工事や家具の運び込みが必要になります。こうした準備に掛かる労力や時間を減らせることも、レンタルオフィスの大きな魅力といえるでしょう。
●サービスオフィス
サービスオフィスとは、個室になっている作業スペースを1ヵ月単位でレンタルすることのできるサービスを指すのが一般的です。運営会社によって違いはありますが、立地のよいオフィスビルの中に設置されており、セキュリティ面も充実していることが多いです。また、内装や家具類はすでに設置されているため、自社で費用を掛ける必要もないでしょう。インターネット環境も万全で、契約後にはすぐに仕事に取りかかれることもサービスオフィスの特長といえます。
サービスオフィスは広いオフィススペースをレンタルするのと違い、コンパクトな個室をレンタルするのが一般的なため、少人数で仕事をする小規模オフィスに向いています。
オフィス内には共有スペースとして会議室、ラウンジなどが設置されており、来客対応するスペースも確保されている場合がほとんどです。また、サービスオフィスによっては、コンシェルジュサービスや郵便受取・不在時の宅配物対応などのサービスも利用できるため、賃料を抑えながら効率よく仕事ができる環境といえるでしょう。
●シェアオフィス
シェアオフィスは、一つのオフィス空間を複数の企業で共有するシステムを指すのが一般的です。オフィス空間そのものは広く、余裕があり、デザインも洗練されている傾向にあります。しかし、実際に借りるのは、広い空間の中でも自社に必要なスペースとなります。したがって、オフィスのレンタル料は必要な分だけとなり、最低限に抑えられるでしょう。
シェアオフィスでも、オフィスの内装や家具はすでに備え付けられているため、自社で初期費用を支払う必要がなく、コストカットに効果的といえます。また、増員があった場合は、レンタルするスペースを少し増やせばよいため、余計な費用も抑えられるでしょう。反対に人員が減った場合にはレンタルするスペースを減らせばレンタル料を下げることもできるため、臨機応変に対応できるのも小規模オフィスに向いている理由の一つといえます。
■まとめ
小規模オフィスは、上手にコスト削減しながら効率よく仕事ができるシステムといえます。小規模だからこそ家具や内装工事を最小限で済ませられる傾向にあることに加え、オフィス全体を通してデザインを統一しやすいことも、小規模オフィスならではのメリットといえるでしょう。
小規模オフィスは賃貸オフィスだけでなく、レンタルオフィスやサービスオフィス、シェアオフィスという選択もあります。中でもサービスオフィスは、オフィス環境を整備するコストや手間を抑えたい、都心のアクセスのよい場所に洗練されたおしゃれなオフィスを構えたいという企業におすすめといえます。
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