働き方改革の一環として、オフィス改革に取り組む企業は少なくないでしょう。しかし、オフィス改革の目的を定めずに取り組みを進めようとしても、効果を得られない可能性があります。そこで疑問に感じるのは、「どのような目的でオフィス改革をするのか」「具体的なメリットは何か」ではないでしょうか。

本記事では、オフィス改革を行う目的やメリット、注意点についてご紹介します。オフィス改革に取り入れたい事例もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。


<目次>

■オフィス改革とは?

オフィス改革とは、働きやすい職場環境を整えることを指すのが一般的です。例えば社員がリラックスするための休憩スペースを作ったり、執務スペースのレイアウトを変更したりして、オフィスの設備や空間を大きく変化させることが挙げられます。社員が仕事の合間にリラックスできる上に作業がしやすくなれば、業務効率や生産性を向上させることにもつながるでしょう。

働き方改革の促進という観点においても、オフィス改革によって得られるメリットは大きいと考えられ、重要視されているようです。実際に総務省や国土交通省では、作業に集中できるブースや気軽に利用できるミーティングスペースを確保するなどのオフィス改革を行い、業務効率化や生産性向上を実現しています。

※参考:国土交通省 「道路局働き方改革PT」

https://www.mlit.go.jp/road/road_fr4_000094.html,(2023-10-11)


※参考:総務省 「オフィス改革」

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/office_kaikaku/index.html,(2023-10-11)

■オフィス改革の目的

オフィス改革で実現できる目的はさまざまで、実施する会社によって異なるものといえます。

ここでは、代表的な目的を2つご紹介します。一つはオフィスの設備や環境を整備することで社内外に効果的なアピールができる点です。もう一つは事業規模の拡大など、会社の現状に合わせて合理的なオフィス環境を実現できる点です。

それぞれの目的について詳しく見ていきましょう。

●社内外に対してのアピールになる

オフィス改革が社内外へのアピールになる理由には、社員の帰属意識を向上させ、社外から優秀な人材を集めることにつながる点が挙げられます。オフィス改革に取り組むことで作業がしやすく居心地のよいオフィスになれば、社員は会社に大切にされていると感じられ社員は所属する企業への愛着が生まれるでしょう。自社を誇らしいと感じられるようになり、帰属意識が高まることにもつながると期待できます。

企業が社員を大切にする姿勢は、社外からの信用力にも良い影響力を与えるはずです。顧客や取引先にとっての自社のブランド価値を高めるだけでなく、会社の魅力が多いほど優秀な人材が集まりやすくなることを期待して、社員の満足度が高いオフィスをアピールポイントとして社外へ発信すれば、求める人材を確保しやすくなる効果もあるでしょう。

●会社の現状に合わせた合理的なオフィスを実現する

事業規模が拡大するほど、社員数を増やす必要性も出てくるはずです。社員にとって働きやすい職場環境を整えるためには、オフィス空間の適正化を検討する必要があるでしょう。例えば、人数に応じた執務スペースの広さを確保したり、席を自由に選べるフリーアドレス制を導入したりするなどの例が挙げられます。社員数や事業規模に見合ったオフィスに移転することで、賃料や光熱費などのオフィスの運営に必要なコストを削減できる可能性もあります。

また、オフィス空間を適正化することで、仕事の生産性を向上させるなどの効果も期待できます。オフィス改革によって職場環境が改善されれば、社員一人ひとりの幸せ(ウェルビーイング)につながる働き方を提供できるでしょう。

■オフィス改革で期待できるメリット

オフィス改革に期待できる主なメリットは、社員間のコミュニケーションを活性化できることが挙げられます。また、社員が安心して働ける環境を整備する中で、セキュリティの強化も図れるでしょう。さらにはオフィスをリニューアルするにあたって業務効率化を図るために、IoTなどデジタル技術を導入しやすくなることも、オフィス改革で期待されるメリットといえます。

それぞれのメリットが期待される理由をご紹介します。

●コミュニケーションの活性化

オフィス改革によって他部署の社員との接点が増えることから、コミュニケーションの活性化が期待できます。コミュニケーションの活性化に有効とされている方法の一つに、フリーアドレス制が挙げられます。フリーアドレス制とは、従来のオフィスのような固定席を設けず、社員が座席を自由に選択できる仕組みを指すのが一般的です。

フリーアドレス制を導入すると、毎日隣の席に座る社員が変わるため、仕事上接点を持ちにくい部署の社員と交流がしやすくなる効果が期待できます。他部署の社員との会話が新プロジェクトのアイデアにつながることもあるでしょう。また、コピー機や事務用品の収納棚、ドリンクコーナーなどの共有スペースをオフィスの一角にまとめることで、社員同士が気軽にコミュニケーションを取りやすいようにするのもおすすめです。

●セキュリティの強化

オフィス改革によって情報漏洩や不正アクセスの対策を講じることは、オフィス全体のセキュリティ強化につながるはずです。セキュリティが甘いと情報流出のリスクが放置され、顧客や取引先に 損害を与える恐れがあります。

セキュリティの強化は、セキュリティリスクを軽減するためだけでなく、社員の心理的安全性を確保する上でも重要な施策といえるでしょう。心理的安全性とは、誰もが素直に感じた意見を伝えられる、聞き手側が批判せずに受け止められる環境を指すのが一般的です。

セキュリティ強化の具体例としては、組織におけるセキュリティ対策の実施やルールを見直す、ペーパーレス化ならびに情報の電子化、クラウドサービスの導入、自社サーバーに独自システムを構築するなどの方法が挙げられます。

●IoTの導入

オフィス改革によってデジタル化が促進されれば、IoTの導入効果が期待できます。IoTは「モノのインターネット」のことで、インターネットとつながった機器やシステムを指すことが多いです。IoTの身近な例には、話し掛けるだけでインターネット通販への注文が可能なスマートスピーカーや、スマートフォンと連携できるスマート家電などが挙げられます。

ビジネスにIoTを導入すると、会議室に設置したセンサーからリアルタイムの利用状況が確認できたり、フリーアドレス制と合わせて活用することで瞬時に座席の混雑状況を確認できたりするでしょう。また、IoT技術を活用して無人受付システムを導入すれば、受付スタッフを常駐させる必要がなくなり、人件費の削減効果が期待できます。

■オフィス改革の事例

オフィス改革を進めるにあたって、どこから始めれば失敗しないのか、何から手をつければよいのか分からないという方も多いでしょう。そこで、オフィス改革で導入するとよい6つの事例をご紹介します。

1. 集中ブースを作る
2. ラウンジ・カフェスペースを作る
3. 簡易的な会議・作業スペースを作る
4. フリーアドレス制を導入する
5. テレワークを導入する
6. サテライトオフィスを設置する

オフィス改革の事例を基に、それぞれの取り組みの目的や設置、導入によって期待されるメリットを詳しく確認しておきましょう。

●1.集中ブースを作る

集中ブースを設置する目的は、個人の業務効率を向上させることにあるといえます。静かな環境で誰にも話し掛けられない空間を作ることで、社員は仕事に集中しやすくなるはずです。
集中ブースには、個室型ブースや半個室型ブースなど、さまざまな種類が挙げられます。個室型ブースは周囲の雑音を遮断したいときや機密性の高い内容を電話するときなど、遮音性を高めたい場合に適しているでしょう。半個室型ブースは、パーテーションやパネルを目隠しにしたタイプが多いようです。目隠しと一体化したリクライニング機能のあるブースを設置すれば、人の目を気にせず疲れにくい姿勢を保てるようになるため、長時間の作業も集中しやすくなるでしょう。

●2.ラウンジ・カフェスペースを作る

ラウンジ・カフェスペースは、ドリンクを飲んだり仮眠を取ったりできる休憩スペースを指すのが一般的です。社員がリフレッシュできるスペースを設置することで、業務につながるよいアイデアが生まれたり、気分転換になったりするでしょう。しっかりと休憩をとれる環境が整えば仕事にメリハリが生まれるため、業務効率アップにもつながるはずです。

ラウンジ・カフェスペースのアイデアには、カフェテリアや複数の飲食店が入る大型の食堂、トレーニングジムなどが挙げられます。十分な広さのスペースを確保できない場合は、オフィスの一角をカフェスペースやドリンクスペースにしてパーテーションで仕切るのもおすすめです。ラウンジ・カフェスペースの設置は福利厚生の一環にもなるため、充実させることで社員の満足度を高められるでしょう。

●3.簡易的な会議・作業スペースを作る

簡易的な会議・作業スペースがあれば、アイデアの共有や気軽な意見交換、情報交換に利用できるでしょう。設置することで社員間の気軽な話し合いができるため、社内のコミュニケーションの活性化が期待できます。

簡易的な会議・作業スペースがあれば、立ち話ですむような簡単な話題について、わざわざ会議室を借りなくても手短に済ませられるでしょう。テレビ会議システムと連携できるディスプレイを設置すれば、遠方にいる社員とのミーティングも可能となり、円滑なディスカッションの進行にも役立ちます。

簡易的な会議・作業スペースを作るには、オフィスの一角に自由に利用できる作業スペースを確保したり、立ったまま会議できるデスクを設置したりといった方法がおすすめです。

●4.フリーアドレス制を導入する

フリーアドレス制は、オフィス内の好きな場所で仕事ができる制度を指すことが多いです。毎日席が変わることで、業務上接点がない部署の社員と話す機会を増やせることがメリットといえます。

フリーアドレス制を導入して他部署とのコミュニケーションが生まれれば、プロジェクトで一緒に取り組む際に連携しやすくなるでしょう。また、管理職もフリーアドレス制に参加すれば、接点を持ちにくい役職の上司と社員の交流を深めることができ、社内のコミュニケーションの活性化につながると期待できます。

なお、フリーアドレス制を導入する際、一度にフリーアドレス制を導入すると混乱が生じる可能性がある場合は、一部の部署での導入から始め、徐々に範囲を広げていくとよいでしょう。

●5.テレワークを導入する

テレワークを働き方改革の一環として導入する企業もあるようです。テレワークの導入によってオフィス以外の好きな場所で働ける環境が整えば、通勤時間を削減できるため、社員にとっては自由な時間が増えるはずです。子育てや親の介護と仕事を両立しやすくなれば、理想のワークライフバランスも実現しやすくなるでしょう。

テレワークの導入によって得られるメリットは、社員に対するものだけではありません。テレワークをする社員が増えることで今よりもスペースの狭いオフィスに移転できれば、賃料や光熱費などの経費削減にもつながります。浮いた経費を企業の成長に利用できるでしょう。

●6.サテライトオフィスを設置する

サテライトオフィスとは、本社以外の場所に置かれた小規模な拠点のことを指すことが多いです。例えば、東京に本社がある企業が地方に拠点を作り、全国で事業展開するといった例が挙げられます。
サテライトオフィスを導入する際は、特にセキュリティ対策に注意する必要があるでしょう。外部のオフィスサービスを利用してサテライトオフィスを開設する場合は、情報漏洩や関係者以外の立ち入りなどのリスクが高まるため、セキュリティ面で安心できるサービスを選ぶとよいです。また、本社とのコミュニケーションを円滑にするには、コミュニケーションツールやテレビ会議システムの導入をおすすめします。

■オフィス改革する際の注意点

オフィス改革に向けた取り組みを実行する上で、いくつか意識しておきたい注意点があります。以下に挙げる注意点を考慮してオフィス改革に取り組めば、目的に合った効果を得られるでしょう。主な注意点は以下の5つです。

1. 予算を設定しておく
2. どこまで施工できるのか確認しておく
3. 社員の意見を参考にする
4. 目的を明確にしておく
5. 動線を考慮したレイアウト設計を意識する

それぞれどのような点を意識してオフィス改革を進めていけばよいのか、詳しくご紹介します。

●1.予算を設定しておく

オフィス改革を行う上で、予算設定は追加費用の発生によって予算オーバーになるのを抑えるために必要といえます。オフィス改革に掛けられるコストが明確でなければ、不要な費用が発生したり必要なところに予算を掛けられなかったりする可能性もあります。

予算を設定する際は複数の業者に見積もりを依頼し、目安となる予算を決めることをおすすめします。また、依頼したい業者の施工事例を確認することで、具体的な完成イメージを思い浮かべやすくなるため予算を絞り込みやすくなるでしょう。

●2.どこまで施工できるのか確認しておく

オフィスの内装やレイアウトを変更したくても、施工が難しいケースは考えられます。例えば、建築基準法上の規定で撤去できない柱や壁がある場合や、ビルの共有部分の改装ができない場合などがあるでしょう。

また、契約上原状回復工事が必要な賃貸オフィスなどは、大規模な工事をした場合、退去する際にも工事費用などの負担が増えてしまうでしょう。オフィスを改装する際は、不動産会社やオーナーなどに連絡し、どの範囲まで施工が可能なのかを確認しておくことをおすすめします。

●3.社員の意見を参考にする

オフィスを利用するのは社員であるため、社員の意見を参考にして取り入れることも、重要なポイントの一つといえます。意見を参考にすることで、本当に社員にとって働きやすいオフィス環境を実現しやすくなるでしょう。

オフィス改革によって福利厚生が充実すれば、社員の満足度も高まると期待できます。社員の意見を取り入れてオフィス改革する際は、上司と部下が1対1で面談をする1on1ミーティングでヒアリングしたり、アンケートを実施したりするとよいでしょう。

●4.目的を明確にしておく

自社にとってのオフィス改革の目的をより明確にすることで、オフィスのどの部分を重視して改装すればよいのか判断しやすくなるでしょう。目的を明確にせずにオフィス改革を行うと、得たい効果が期待できず、コストや労力を無駄に消費する恐れがあります。

社内コミュニケーションの活性化を一番の目的にするなら、先述したフリーアドレス制の導入やリラックススペースの設置をおすすめします。理想とするオフィスイメージは会社によって異なるため、自社の課題やニーズを基に目的を明確にしておきましょう。

●5/動線を考慮したレイアウト設計を意識する

オフィスのレイアウトを変える場合は、作業しやすい動線を意識した設計にすることが求められます。例えば、座席間のスペースを考慮せずにデスクやイスを設置すると、隣席同士の間隔が狭くなり、圧迫感のあるオフィスになってしまうでしょう。座席間のスペースや通路を広くとることで、余裕を持って仕事ができる環境に整えられるはずです。

限られたスペースで予算を掛けずにオフィス改革するなら、多目的に利用できるフリースペースをオフィスの一角に作るのも一つの方法です。なお、消防法の規定に従い、防炎性の高い素材を選ぶ、喫煙スペースやボイラー室など火災の恐れがある場所に火災報知器やスプリンクラーを設置するなど、オフィスの安全対策にも目を向けておきましょう。

■まとめ

オフィス改革には社内コミュニケーションの活性化や業務効率化などの効果が期待されているため、社内外へのアピールや、理想のオフィスの実現を目的に取り組むことをおすすめします。ただし、目的や予算を明確にしないまま改革を進めてしまえば、理想のオフィス像からかけ離れていってしまうでしょう。また、オフィス改革に予算を掛けられないという小規模なオフィスの場合、ガラッと印象が変わるような変化をつけるのは難しいかもしれません。

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