起業に必要な費用は? 初期費用とランニングコストについて解説
公開日 2020.08.07 更新日 2022.07.22- レンタルオフィス・サービスオフィスのH¹O
- コラム
- 起業に必要な費用は? 初期費用とランニングコストについて解説
自分でビジネスを立ち上げたいという思いはあるものの、資金面での不安が大きくて一歩踏み出せないという方は多いのではないでしょうか。
起業の際に必要な費用は、主に「初期費用」と「ランニングコスト」の二つに分類することができます。
今回は、これらの費用についてそれぞれ詳しく解説していきます。
<目次>
起業の初期費用とランニングコスト(運転資金)
フリーランスなどの個人事業主や株式会社設立など、起業にはさまざまな形態がありますが、どのような形でも共通して大切なのは、「資金計画」をきちんと立てるということです。どれほど素晴らしい理念やビジョンを持っていたとしても、どのくらいの資金が必要で、そのお金をどのようにして調達するのかという点を明確にしていなければ、起業を成功させることは難しいでしょう。
会社を設立する場合、これまでは資本金が300万円以上必要でしたが、2007年にこの条件が撤廃されたことによって、制度上は資本金が1円であっても起業できるようになりました。とはいえ、起業して事業活動を行うには思っている以上に費用がかかるため、現実的に1円での起業は不可能だといえます。では、実際に起業をする場合どのくらいの費用が必要なのでしょうか。
起業に必要な費用は、仕事を始めるために最低限必要なお金である「初期費用」と、その仕事を継続していくために必要な「運転資金」に大きく分けることができます。これから起業を検討している方は、それぞれの費用がどの程度必要なのかをしっかりと把握した上で、どちらもきちんと確保しておくことが大切でしょう。
起業の初期費用
起業の際に必要な初期費用にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
登記費用
個人事業主の場合には不要ですが、会社を設立する場合には法務局で「登記」の手続きをする必要があります。登記にかかる費用は、登録免許税で「資本金の金額×0.7%」です。ただし、「資本金の金額×0.7%」が150,000円に満たない株式会社は最低額の150,000円に、60,000円に満たない合同会社は最低額の60,000円になります。
このように、株式会社や合同会社など、設立する会社の形態や種類によって費用は異なり、株式会社は他と比べて高くなります。
定款と定款認証にかかる費用
「定款」とは会社の事業内容や規則などをまとめたもので、会社設立時に作成が必要です。定款に関する費用には、「定款認証手数料」「印紙代」「定款の謄本費用」があります。「定款認証手数料」は公証人役場に支払うもので、株式会社は認証を受けなくてはいけないのですが、合同会社の場合、認証の必要はありません。なお、定款の認証にかかる費用は、令和4年1月1日から以下のとおり変更されました。
<定款の認証手数料>
・資本金等の額が100万円未満:3万円
・資本金等の額が100万円以上300万円未満:4万円
・その他:5万円
そのほか「印紙代」は、4万円ですが、PDFファイルで提出する「電子定款」であれば必要ありません。初期費用を抑えるためにも電子定款の利用をおすすめします。また、「謄本の請求手数料」については、1枚につき250円ですので、2000円程度と考えておけばよいでしょう。
<定款の収入印紙代>
・4万円(電子定款の場合は不要)
<定款の謄本費用>
・設立登記申請用の謄本の請求手数料:1枚につき250円
なお、商号や住所、役員など定款変更を行う場合にも費用がかかります。定款の作成はよく考えた上で行いましょう。
・印鑑作成費用
会社を設立したら印鑑や電子印鑑も必要です。印鑑が必要のない書類も増えてきましたが、まだ必要な場面が多くありますので、用意しておきましょう。
事務所賃貸にかかる費用
個人事業主として自宅で仕事をする場合には必要ありませんが、事務所を借りる場合には賃貸契約を結ぶ際の敷金・礼金、仲介手数料、前払い家賃などが必要です。
設備費用
自宅とは別の場所でオフィスや事務所を構える場合には、デスクやチェアといった家具類や、パソコン、プリンターや複合機、ファックス、電話といった仕事をするのに必要な環境を揃える費用がかかります。
広告・宣伝費
起業を成功させるためには、会社の存在を世間に認知してもらう必要があります。そのための、広告・宣伝費も大切な初期費用のひとつです。ホームページの開設、会社のロゴ作成、名刺の作成など、営業活動に必要なアイテムの費用も含まれます。
起業後のランニングコスト(運転資金)
起業後に事業活動を続けていくための運転資金であるランニングコストは、業種や事業規模によっても異なるため一概にはいえませんが、主な費用である以下の4つについては、実際に事業収入が得られるまで確保しておく必要があります。
家賃
起業してオフィスや事務所を賃貸する場合、継続して家賃を支払い続ける必要があります。広さや立地条件によっても金額は異なりますが、ランニングコストの大きな部分を占める費用のひとつです。
光熱費
オフィスや事務所を借りた場合だけでなく、個人事業主として自宅で仕事をする場合も、電気代をはじめとする光熱費が発生します。
人件費
人を雇う場合には、人件費も継続して支払わなければならないランニングコストのひとつです。
税金
法人の場合には、主に所得に対して課せられる法人税をはじめ、法人住民税、法人事業税、消費税、源泉徴収額などの税金を納税する義務があります。
会社携帯の費用
仕事で使用する法人用携帯、いわゆる「会社携帯」には、法人限定プランなど携帯会社によってさまざまな料金プランが設けられていますので、じっくりと比較検討することが大切です。また、会社携帯は社員の入退社によって増減したり、用途が変わってプランを変更したりする場合がありますので、使い方に応じたサポートが充実している会社を選びましょう。
またプランを決める際は、価格だけでなく、業務内容や利用状況で判断しましょう。例えば、通話が多いのか、重いデータのやり取りが多いのか、テキストで十分なのか。通話の時間帯も、ビジネスアワーのみでよいのか、24時間必要なのか。事前に携帯の使い方や利用状況を洗い出しておくことをおすすめします。
実際に見積もりを取ってみるとプランの金額だけでなく、必要なオプションの組み合わせや割引や特典の適用によって、金額に大きな差が出る場合もあります。会社携帯を導入する際は複数の会社で見積もりを取りましょう。
起業の費用を抑える方法は?
起業してからすぐに仕事があったとしても、入金は翌月末か翌々月以降です。長いプロジェクトの場合は完了するまで請求ができない場合もありますので、さらに遅くなります。そのため、3ヶ月から半年は入金がなくても問題ないくらいの資金は確保しておきましょう。また、固定費を抑えることも重要です。オフィスや事務所の家賃、車両費や旅費交通費、人件費などはできるだけ削減しましょう。
人件費を抑える
経理や雑務など人を雇わずに処理できるなら、何でも自分でやってみましょう。勉強にもなります。ただ、雑務に追われていては本末転倒なので、売り上げの目処が立ち始めたら人を雇うことも考えてみましょう。売り上げに波がある場合は、外注かパートのほうがリスクが少なくおすすめです。また、クラウドワーキングを利用して、専門のフリーランスの方に作業をお願いするのもいいでしょう。
シェアリングを活用する
オフィスや事務所、打ち合わせスペースの代わりにシェアオフィスやコワーキングスペースを活用すると、初期費用も固定費もかなり抑えられます。シェアオフィスによっては、受付サービスや郵便・荷物の受取サービス、電話代行など充実していますので、起業時の人数が少ないときにたいへん便利です。オフィスや事務所を借りる場合は、パソコンのモニターやオフィス家具などシェアリングできるものはできるだけ利用して、必要なものだけ購入するという手もあります。また、車の利用が少ない場合は、カーシェアリングもおすすめです。
起業後の生活費の確保も忘れずに
初期費用とランニングコスト以外にも、忘れてはいけないのが、当面の生活費です。起業をしたからといって、必ずしも順調に事業収入が得られるとは限らないため、無収入でもしばらく生活できるだけの資金を準備しておく必要があります。各種税金、健康保険、年金など、サラリーマン時代に給与天引きになっていた分はもちろん、食費、住居費、光熱費、それ以外の雑費など月々どのくらいの生活費がかかっているのかをあらかじめ正しく把握しておきましょう。
理想を言えば1年間無収入でも生活できるだけの十分な蓄えがあるのが理想的ですが、それだけの生活費をあらかじめ確保していくことはなかなか大変なことです。とはいえ、事業活動に専念するためには、最低でも半年間の生活費を準備しておいた方が安心でしょう。そして、その費用はランニングコストとはしっかりと区別しておくことも大切です。
起業をするには初期費用だけでなくランニングコストや当面の生活費など、思った以上に費用がかかります。不安要素をできるだけ取り除いて事業活動に専念していくためにも、上記でご紹介した内容を参考にして、余裕を持った資金計画を立てていきましょう。また、起業時の資金を確保するための方法については、「起業時の資金調達で使える10の方法」を参考にしてみましょう。
なお、H¹Oでは初期コストを抑えられ、内装工事なども抑えながらオフィスを構えることができます。
詳しくは以下のURLからHPをご確認ください。