野村不動産の新しいサービスオフィスブランド「H¹O」。これまでも多彩なゲストを迎えて、未来の働き方を考えるトークセッションを開催してきましたが、今回は「時間・空間・人間」をテーマに、初めての試みとなる連続オンラインサロンをスタートいたしました。

第0回目となるオンラインサロンは、ゲストに予防医学研究者で医学博士の石川善樹氏を迎え、「コロナ時代の時間戦略を考える」というテーマで5月25日(月)に開催いたしました。石川氏は「人がより良く生きる(Good Life)とは何か」をテーマに、企業や大学と学際的研究を行なっています。著書に「フルライフ」(NewsPicksパブリッシング)などがあります。

ファシリテーターは、Tokyo Work Design Weekオーガナイザーの横石崇氏と、イベントプラットホーム・Peatix共同創業者の藤田祐司氏。コロナ禍で「新しい働き方」への注目が高まる中、今回は「時間」についてトークを展開、約270名が参加した、大盛り上がりの展開となりました。

オンライン化でPublicとPrivateが混在した自宅に、意識的に『間』をつくる

第1部は、石川氏による“コロナ時代における時間戦略”の話です。石川氏は、「そもそも、オンライン化の本質とは何か?」と問題提起。対極にあるオフラインの王者「電鉄」とは何か? という問いを立て、参加者に投げかけます。

「郊外(Private)と都市部(Public)をラインで結ぶのが電鉄で、そこを往復してもらうことで儲かるのが、電鉄ビジネスです。たとえば、阪急グループの小林一三氏は、郊外に学校を招致し、都市部にデパートを建てて、ファミリー層の移動を開拓。さらに未就学児童のために遊園地をつくるなどして、移動を促進しました。つまり、私たちのこれまでの生活は、鉄道によるPublicとPrivateの移動にあったのです」

またPublicとPrivateの間で、面白いことが起こると石川氏はいいます。たとえば東京だと、三軒茶屋や下北沢、中目黒など、山手線の駅から2、3駅離れた所に、独自の文化圏が発生している、と。三軒茶屋のカフェには、多彩な人たちが集まり、マスターを媒介にして、常連客と観客が化学反応を起こします。そうした“はざまの空間”が、生活に重要な潤いをもたらしていると言うのです。

「コロナ禍に多くの人の間で浸透した在宅勤務によって、Privateな空間だった家は、PublicとPrivateが混在するようになりました。その閉ざされた空間の中で、私たちはPublicとPrivateの間のラインを、行ったり来たりします。それがオンライン化の本質です。だとしたら、生活を健全にするためには、Private な空間にも“はざまの空間”を置く必要があるのです」

家という空間は、縦軸に「Public」「Private」、横軸に「ひとり」「みんな」を置いたマトリクスをつくると、4つのモードに分かれます。その中心部分に『間』を置かなければ、切り替えが難しくなる、と石川氏は言います。時間と空間の移動によって切り替わっていた4つのモードが、オンラインでは次の瞬間に、いきなり切り替わるからです。家族との食事の直後に、オンライン会議が始まったりします。文字通り『間』が抜けてしまうのです。

Withコロナ時代において、これからの「空間」の大原則は、“閉&密”から“開&疎”へ移行するといわれています(by安宅氏)。その“開&疎”の空間で、スイッチを切り替えるためには、マトリクスにもとづく4つのモードに、『間』を含めた5つのモードを、意識的につくらないといけない、と石川氏は指摘します。

「その“間”がどのようなものであるかは、私にもまだわかりません。イメージとしては、自由に行き来できる“細胞膜”のようなものかもしれません」

“神が時間をつくり、悪魔が時計をつくった”。新たな時代に求められる生活リズムとは?

第2部では、石川氏のプレゼンテーションを受けて、質疑応答が行なわれました。まず横石氏から出たのが、今後は仕事のやり方も「疎」ならぬ「粗」になったほうがいいのではないか、という意見。

「これまで日本人は、緻密な作業をしようとするあまり、仕事に時間にかけ過ぎていました。完璧な100点ではなく、粗くてもいいから80点をめざす、という感覚がもう少し定着してもいい。もっと、仕事の時間や内容に寛容な働き方があってもいいと思います」

これに対して石川氏は、こんなエピソードを紹介します。「ある人から“神が時間をつくり、悪魔が時計をつくった”という名言を聞いたことがあります。つまり、時間に追われるために、神は時間をつくったわけではない、と」

一方、藤田氏は、緊急事態宣言下のステイホームで、時間の組み合わせ方が大きく変わった、と言います。「以前は、時間に縛られていた感覚がありました。この時間は◯◯をしなければいけない、というように。でも、午後は子どもと遊び、夜に仕事をしてもいい。時間を自分なりに最適化したほうが、人生過ごしやすいなと感じました」

そこで大切になるのが、自由と規律のバランスだ、と石川氏は指摘します。「月曜から日曜まで全部自由な時間になると、自分なりの規律を持たないと、人は自由に溺れます。規律を持つのに一番いいのは“食事”。“食事は、生まれ変わるチャンス”という名言もあり、食事を境にして気持ちを切り替え、リズムを創っていく方法もあります」

そして石川氏は、こう締めくくります。「いま社会はものすごいコストをかけて、次の世代にどのような生活リズムを残せるか、壮大な実験をしているのだと思います。今こそ、“神様から与えられた時間”に向き合うチャンスだと考えています」

視聴者もチャットで積極的に参加。ヒントは「H¹O」の空間づくりに活かされる

オンラインサロン開催中は、参加者からもチャットで様々な意見が寄せられました。

「『間』がないから家で仕事をしていると頭の切り替えがうまくいかない!」「日本人は切り替えが遅い印象があります。だからこそ『間』が必要なのかも」「本来、日の出から日の入りまでものすごい時間があるのに、なぜ私たちは時間がないと感じていたのか」「食べることが大好きな私には生まれ変わるチャンスが一杯!」など。ゲストトークに刺激され、ここでも活発な意見の交換がありました。

野村不動産では、こうした刺激的な議論や、参加者へのアンケートなどから得られたヒントを、今後の「H¹O」の空間づくりに活かしていきたいと考えています。今回だと、たとえば、オフィスの中のPrivate空間とPublic空間、そこをつなぐ『間』を、どのような形で提供していけばよいのか、オンライン化の急速な浸透に伴って、オフィスの在り方はどう変わっていくのか、等々。こうした問いに目を向けながら、H¹Oが大切にしている[Value 4 Human]という価値指標=「自分らしさ」、「心身の健康」、「心地よさ」、「豊かな感性」に基づいた、個人が最高のパフォーマンスを発揮できる環境づくりをさらに追求していきます。

第1回目の「H¹O連続オンラインサロン」は6月29日(月)18時からを予定、コクヨ株式会社・ワークスタイル研究所所長の山下正太郎氏を招き、「空間」をテーマに開催いたします。皆さんのご参加をお待ちしています。

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