Yahoo! アカデミア学長 伊藤羊一氏『1分で話せ』 著者が大切にする働く場とは?〜Yahoo! アカデミア学長に訊く!〜」


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“働くヒトが幸せに生きる”ためのWell-Beingを大切に考える、野村不動産の新しいサービスオフィスブランド「H¹O」。2019年9月、多彩なゲストと一緒に、働き方の未来を考えるトークセッションが、日本橋室町野村ビル(YUITO)で開催されました。

今回紹介するのは、9月9日に行われたTalk Session3と4。モデレーターは、新しい働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」オーガナイザーの横石崇氏と、OMOYA inc.代表・女子未来大学ファウンダーの猪熊真理子氏。この日もユニークな活動を展開するゲストとの間で、興味深いトークセッションが繰り広げられました。

「個」の力を最大限に引出してV字回復を達成、増収増益を続ける

Talk Session3で登壇してくれたのは、ヤッホーブルーイングの代表取締役社長の井出直行氏。

井出氏は、1997年にヤッホーブルーイング創業メンバーとして入社。2004年に楽天市場担当として『よなよなエール』を武器に業績をV字回復させ、2008年に社長に就任しました。トークのテーマは「飛躍の秘訣は『個』の力にあり!〜最高のチームワークを生み出す方法とは?〜」です。

井出氏によれば、ヤッホーブルーイングは創業して8年間は赤字だったそうです。97年から99年に一時の地ビールブームがあった一方で、ブームが去った後は業績が下降。井出氏は2005年からネットショップの担当として楽天市場で奮闘したものの、「会社の雰囲気が悪く、スタッフも辞め、何もかも上手くいかなかった」といいます。そこで2008年に社長に就任してから、チームビルディングを軸として、会社の大改革に乗り出しました。

「当時は、個人の力が業績に直結することがよく分かっていませんでした。当たり前ですが、会社で働くひとり一人がちゃんと機能しなければ会社はうまくいかない。規模が小さな少数精鋭の企業やチームならなおさらです。まずは自分が外部のチームビルディング研修を受講し、次に自分が講師役となって、様々なアクティビティを取り入れながら、社内のチームづくりに力を入れ始めました。一致団結して大きな力を生み出そうとしたのです」

チームビルディングの次は、組織文化づくり。フラットな組織で、究極の顧客志向をめざす「ガッホー文化(頑張れヤッホー!文化)」を組成、「知的な変わり者」というテーマで、「自ら考えて行動する」「切磋琢磨する」「仕事を楽しむ」というスローガンを掲げました。

「その中で気づいたのは、人の能力を最大限に発揮させるには、コミュニケーションが大事だということ。そのためコミュニケーションを仕組化して、独自のマップを作ったのです」。それは「“ヤッホー流”コミュニケーションマップ」と名付けられ、“ワイワイガヤガヤ、気軽!”に行うものから、“侃々諤々、議論!”するものまで、コミュニケーションの項目をたくさん設定したそうです。「普段から雑談を含めたコミュニケーションを取っていると、お互いのことがわかって建設的な議論ができる」と井出氏は説明します。

社内のコミュニケーションが活発化したことで、社員のひとり一人に顧客志向の意識が浸透し、業績は自然と伸びました。“お通夜のようだった”朝礼も、活気ある雑談の場となり、2005年以降、同社は14年連続で増収増益を実現。働く環境が大きく変わり、チーム内に信頼感が生まれたことで、「個」の力が最大限に発揮されるようになったのです。

究極のオフィスとは、Well-Beingでクリエイティブな空間である

Talk Session4のテーマは、「究極のオフィスはどうつくる?〜社員のウェルビーイングを高める方法〜」。ゲストは、予防医学研究者で医学博士の石川善樹氏です。

石川氏は、東京大学医学部健康科学科を卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)を取得。現在は、「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマに、企業や大学と、様々な学問分野を跨いだ横断的な研究を行っています。

働き方改革もあり、ひと昔前に比べて労働時間は確実に少なくなっています。にもかかわらず、忙しいという感覚が増えているのはなぜなのか? 石川氏は、「仮説ですが、ひとつの作業から別の作業に行くスイッチが、とても多くなっているからだと思います。まったく違う種類の仕事を、次から次へと片付けなければならない。それが疲労の原因になっている。つまり脳の切り替えが上手くいっていないのです」と語ります。

脳の切り替えをスムーズに行うのは、脳をスイッチする空間・場が必要。しかし、現状のオフィスの多くは、そのような空間がありません。石川氏は、オフィスの機能を、マトリクスを使って構造化して考えているそうです。ヨコ軸に「Being(目的なし)」「Doing(目的あり)」、タテ軸に「ひとり」「みんな」を置く。するとほとんどオフィスは、その4つのモードの中で、「みんな」「Doing」のカテゴリーに偏ってしまうのです。要するに、多くの人が集まって、何かの目的のために仕事をし続けているから、脳が上手くスイッチを切り替えられず、忙しいと感じたり、疲労を感じたりするということです。現代で働く人にとって必要なのは、もっと「ひとり」に寄り添った空間だと言います。例えば一人で集中できるワークスペースや、気分を切り替えられるような機能や仕組みがオフィスには求められているということですね。

さらに石川氏によれば、脳は色々な部位(ネットワーク)が活性化しますが、分類すると「直観」「大局観」「論理」の部位に分けられるといいます。たとえば「直観」でアイデアをたくさん出し、「大局観」でおよそ3つに絞り、「論理」で最終決定する。「直観」は1人でぼーっとしている時に活発になり、皆で議論すると「論理」が前面に出てきます。散歩をするとアイデアが浮かびますが、会議からはアイデアは決して生まれない、というのが石川氏の主張です。

ゆえに「大局観を活性化させる空間が大事になる」と石川氏は指摘します。「大局観」の部位が活性化していないと、「直観」と「論理」を結びつけることができず、クリエイティブなものは生まれないからです。クリエイティブな人は、この脳の3つのネットワークの切り替えが上手いのだといいます。したがって、「この3つの部位を活性化できるオフィス、つまり4つのモードがバランスよく完備されたオフィスが、クリエイティブな空間であり、究極のオフィスだと思います」と石川氏は語ってくれました。

野村不動産の「H¹O」は、専有の個室空間と、一人で作業したい時やリラックスしたい時に利用できる入居者専用の共用ラウンジを設えており、状況や気分に合わせて働き方を選ぶことができます。石川氏が語る、究極のオフィスの条件に少しでも近づけるよう、今後も入居者様のニーズや声に耳を傾けながら、より良いオフィス空間を作っていきます。

2日間、4回に渡って開催されたトークセッションでは、多彩なゲストから有意義なヒントをいただきました。野村不動産では、今後も様々な形で、これからの働き方、これからのオフィスについて考えるきっかけになる情報を発信していきたいと考えています。

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