現代の日本において大きな社会問題となっている「人手不足」。なかでも中小企業はその影響が深刻で、実に7割以上が人手不足を実感しているのが現状です。そこで今回は、人手不足の原因と対策について解説します。


<目次>

日本の中小企業における人手不足の原因

日本の中小企業が人手不足に陥る原因は、以下のようなものが挙げられます。詳しく見ていきましょう。

労働人口減少の影響

「労働力人口」というのは簡単にいうと「働ける年齢の人口」のことで、15歳〜65歳の年代を指します。現在の日本は少子化高齢化により労働力人口が減少していて、2030年には30人に1人が65歳以上の高齢者になることが想定されていることから、人材確保がさらに難しくなるといわれています。

景気回復による売り手市場の影響

日本の景気は回復傾向にあるといわれていて、その証拠に完全失業率は低下し、就職のしやすさを表す有効求人倍率は上がっています。その結果、採用市場は求職者が優位な立場になる「売り手市場」となっていて、人気のある業種や大企業などの求人に応募が偏ってしまい、中小企業に人が集まりにくくなってしまうのです。

労働供給が需要に追いつかない

売り手市場であるということは、求職者にとっては幅広い選択肢のなかから仕事を見つけることができますが、求人を出している企業側にとってはライバルが増えて競争が激しくなっていることを意味します。労働供給が需要に追いつかないという状況が、中小企業の人手不足を深刻なものにしているのです。

人材流出による影響

昔ながらの年功序列が残る中小企業の場合、高い技術やスキルを持っていても適正に評価されないことも多いため、社員のよい仕事をして会社に貢献しようという意欲が損なわれてしまうことも。その結果、成果主義を求める向上心の高い人材が外資系や海外に流失し人手不足に陥ってしまうのです。

人手不足解消のポイント

少子高齢化や人材の流出、業務環境など、中小企業の人手不足はさまざまな要因によって引き起こされていますが、このままの状態が続くと業務が回らなくなって倒産したり廃業したり、深刻な影響を及ぼす可能性があります。では、中小企業の人手不足を解消するためにはどうしたら良いのでしょうか。

大切なのは継続的な人材の獲得と離職率を下げるための取り組みを並行して行い、尚且つツール導入による効率化などをはじめとする労働環境の改善に着手するということ。既存の社員をつなぎとめながら、新たな人材も確保するということは決して簡単なことではなく、企業側はこの難しい課題に取り組むために、さまざまな努力を重ねる必要があるのです。

人材不足への有効な対策

中小企業の人材不足はどのようにして防ぐことができるのでしょうか。業種によっても抱えている課題は異なりますが、ここでは人材不足への有効な対策として主なものを解説していきます。

採用強化

まず取り組むべきことは、これまでの採用活動を見直すということです。採用方法が正しかったのか、採用の対象は適切だったかを細かく分析してみましょう。例えば、これまで新卒にこだわって採用を行っていたものを、子育てがひと段落した女性や他の企業で経験を積んだ転職者などにターゲットを絞って採用活動を行うことで、中小企業のニーズにマッチした人材を確保できる可能性も出てきます。

就職ガイダンスや合同説明会などを採用手段としていた場合には、ハローワークや検索エンジンの利用にシフトすることで、ターゲットとする層が求人を目にする機会が増える場合もあります。これまでの方法で人材確保ができなかったのであれば、採用方法を見直して強化することが大切なのです。

アウトソーシング

業務量が負担となって離職者が出ている場合には、アウトソーシングを導入することでその負担を軽減し、社員一人ひとりの作業効率をアップするというのも必要な対策のひとつです。また、業務だけでなく福利厚生をアウトソーシングすることによって、低コストで福利厚生を導入することができ、社員の待遇改善につなげることもできます。

AIの活用

一人あたりの作業量が多いと、社員の負担が増えて離職率が高くなってしまいます。AIの活用によって業務の一部を自動化し、仕事の負担を軽減することも人材不足解消の大きな一歩です。

RPAの導入

RPAというのは「ロボティクス・プロセス・オートメーション」の略で、ロボットによってこれまで人が行っていた業務を自動化することを意味します。RPAの導入は、業務負担の軽減や業務の効率化を促進し、人手不足を補うことができます。

ブランディング

離職率や人材の流出を止めるためには、働いている人がその会社に対して魅力を感じることが必要です。業務改善や待遇を改善といった取り組みによって、その会社のブランド力を高めることも人手不足の効果的な対策だといえるでしょう。

労働環境の改善

フレックスタイムやテレワークの導入など、柔軟な働き方を認めることによって労働環境を改善し、社員の定着率を向上させましょう。

人手不足は対策を講じてから成果が出るまでに時間がかかります。現在、人材不足でお悩みの場合には、上記でご紹介した内容を参考に、できるだけ早く対策に取り組んでいくことをおすすめします。

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