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2020.07.21 どこまで負担すべき? オフィスの原状回復

アパートやマンションといった賃貸住宅の契約が終了して退去する際に、その部屋を借りた時の状態に戻してから明け渡すことを「原状回復」と言います。同様に、オフィスや事務所を退去する場合にも原状回復が必要となるのが一般的です。ところが、オフィスの原状回復は一般住宅とは規模が異なるため、想定外のトラブルに発展するケースも少なくありません。移転などの予定がある場合には、予めオフィスの原状回復についての正しい知識を身につけておくことが大切でしょう。

今回は、オフィスの原状回復についてその範囲や、費用の目安を詳しく解説していきます。

原状回復とは

アパートやマンションといった賃貸住宅に住んだことがある方なら、「原状回復」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。「原状回復」というのは、借主がその物件を退去する際に、「借りた時の状態に全て戻して明け渡す」ことです。

そして、その際に発生する費用は、原則として借主が負担することが民法によって定められています。これは一般住宅だけでなく、オフィスや事務所を退去する場合も同じで、移転などで新しいオフィスに移る場合には、それまでいたオフィスの原状回復工事を責任持って行わなければなりません。

では、具体的にオフィスの原状回復ではどのような工事が行われるのでしょうか。細かい内容については物件や賃貸契約によっても異なりますが、ひとつの目安となるのが「入居時に設置したものは撤去し、使ったものは新調する」ということです。

例えば入居の際にフロアを区切るために間仕切りを設置した場合にはドアやガラスなども含めて全て撤去し、オフィス内にキッチンを設置した場合にはキッチンから給排水管まで全て撤去して元に戻す必要があります。また、オフィス内の壁紙や床なども基本的には全てを新しく張り替え、窓に設置されていたブラインドなども撤去もしくは新しいものに付け替えなければいけないのです。

経年劣化や通常の使用による損耗の修繕も借主負担

一般住宅とオフィスの原状回復の違いは、一般住宅では「通常の使用を超える損傷」について原状回復の義務が生じるのに対し、オフィスでは原則として全てが借主側の義務となる点です。

例えば、一般住宅の場合は、畳の色あせや壁紙の日焼けなどのように、普通に暮らしていても起こりうる損耗や、経年による劣化などについては借主側の負担とはなりません。ところが、オフィスの場合はこうした経年劣化や通常の使用による損耗も借主負担となるケースが一般的です。どこまでの範囲が借主側の負担となるかについては、通常は契約書で明記されていますので、賃貸契約を結ぶ際には必ず事前に確認しておくようにしましょう。

原状回復工事にかかる費用の目安

原状回復工事にかかる費用は、オフィスの広さや内装の程度、またビルのグレードなどによっても異なるため一概には言えませんが、目安としては小規模オフィスで坪単価3〜7万円程度、タワービルのような大規模オフィスで坪単価4〜12万円程度、さらにグレードの高いビルになると坪単価20万円程度かかることもあります。ただ、こちらは目安であり、凝った内装の場合などはさらに割高になることなどがございます。

また、原状回復工事は通常そのビルの管理会社が指定する業者に依頼をすることになりますが、管理会社が大手の場合には工事業者も大手になるケースが多く、規模の小さな管理会社と比べて原状回復にかかる費用が割高になるのが一般的です。このように、原状回復にかかる費用はオフィスの移転コストのなかでも大きなウエイトを占めるものになることを念頭に置き、オフィス移転の予算立てをしていきましょう。

原状回復の費用を削減する方法

オフィス移転に伴い原状回復工事を行う場合、その費用をできるだけ抑えるにはどうしたら良いのでしょうか。オフィスの原状回復工事では、電気工事や設備工事なども行われるため、そのビルの管理会社が指定する業者に原状回復工事を依頼するのが一般的です。実際に工事に着手する前には、当然見積もり書を作成してもらいどのくらいの費用がかかるのかを提示してもらうわけですが、内容が専門的で知識がない人には分かりにくいケースもあります。

場合によっては不要な工事が含まれていたり、原状回復義務の範囲外のものが含まれていたりして費用がかさんでしまっているケースも実際にあります。こうしたトラブルを防ぐためにも、相場よりも値段が高い場合や、よく分からない工事に対する費用が請求されている場合には、不動産や建築、法律などの専門家に相談をするのが賢明でしょう。

また、これから新しくオフィスに入居する場合には、あらかじめ原状回復にどのくらいの費用がかかるのか、想定の見積もりを出しておいてもらうことで、退去時の予算を立てやすくなります。

オフィス移転の際には原状回復工事が必要です。移転が決まった場合には、上記の内容を参考にしてできるだけ早い段階から計画的に準備を進めていきましょう。

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